Category : Book! Book! Sendai 2016

南三陸町 みなみさんりくブックス/「かもしか文庫」 インタビュー

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お話:みなみさんりくブックス/「かもしか文庫」栗林美知子さん
聞き手・文:Book! Book! Sendai 武田こうじ               

南三陸ときけば、みなさんはどんなイメージが浮かぶでしょう?震災での甚大な被害があったところ。そして、いまだ復興の途中で日々いろいろな課題に向き合っている街。美しい海岸と盛り上がっている土が見える新しい街並み・・・などなど。どれも、正解のようで、やはり言葉にしてしまうとちょっと違ってきてしまうなぁ、というのが僕が思うことです。

南三陸では詩を読む機会があり、その打ち合わせやリハも含めて、何度か行くことがありました。Book! Book! Sendaiでも2015年の「私的研究本」という企画でご一緒させてもらっています。その時の会場だった【さんさん館】で、みなみさんりくブックスというグループがこの度「かもしか文庫」という街で本と出会える場所、本をきっかけに人が出会える場所を作りました。

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さんさん館は以前小学校だった建物をリノベーションした宿泊施設で、かもしか文庫はその中の図書室だった部屋をアレンジしています。また、みなみさんりくブックスのメンバーは先に書いたイベントなどでご一緒させてもらっていて、とても楽しく、あたたかい人たちです。6月25日のオープンの日には詩のライブをさせてもらいました。ライブが終わって、主宰の栗林美知子さんにお話を聞いてきました。

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→南三陸で本と出会える場所を作ろうと思ったきっかけを教えてください。

栗林:私は震災の時にボランティアで南三陸にきて、ずっと活動してきました。私自身、もともと本が大好きだったのですが、図書館が被災して、本屋さんが街にはなかったので、本にふれる場所がないなぁ、と思っていました。三年経った時に、この場所(さんさん館)にたまたま来たら、古い本棚に何千冊って本があって、ここに本があるんだ!って思ったら、やっぱり、街で本に出会える場所がほしいなぁって考えるようになりました。
そんな時に企画していた『ふるさとカフェ』という、地元の若い人たちが交流して、街でやりたいことを実現させる仲間探しの会があったんですね。そこで、思い切って本のある場所を作りたいって手をあげたら、いま、みなみさんりくブックスに参加してくれている何人かがその場にいて、「私も実は本が好きなんです」と集まってきてくれたんですね。
そして、本棚の整理を始めた時に、ちょうどBook! Book! Sendaiの私的研究本という企画は宮城県どこでも参加できると聞いて、みんなで本の展示してみようと始めたのが活動のきっかけですね。

→Book! Book! Sendaiもきっかけの一つになれたなら光栄ですし、すごいうれしいですね。そして、1年後にこうして『かもしか文庫』をオープンできたのはすごいですよね。実現するにあたっては大変なことが多かったと思いますが、どんな感じで準備してきたのですか?

栗林:みんな、それぞれ仕事を持っているので日中は動けなかったりして、大変は大変でしたが、夜のサークル活動みたいな感じでやってきました。最初は、みんなでそれぞれが好きな本を紹介しよう、という会をしたりして、お互いを知っていきながら、どんなことをしていきたいのかを考えていき、この場所を・・・街にできた仮設の図書館とは違う・・・本と交流できる場所にしていきたいねって話したりしていました。

自分たちの目線で本を選んだり、ここにあった蔵書を生き返らせてあげたいというか・・・こう言うとエラそうに聞こえちゃうかもしれないけど・・・なんか、もうちょっと人にふれるきっかけをつくってあげたいというか・・・たとえば、メンバーの誰かがその本を読んで感想文で紹介したりとか、そういう形でもう一度みなさんがその本にふれる時間を持てたらいいなぁ、とかそんな話を集まってはしていたら、今回この本棚を作るのに寄付をくださったロータリークラブの方と知り合いのメンバーがいて、東日本大震災の被災地に何か支援をしたいということをきいたので、みなみさんりくブックスの活動の話をしたら、共感してもらえて、寄付をお願いできたので、ある程度の予算のめどがつき、ここの設備を整えられるかも、ってなりました。ただ、ここの場所って林際小学校の長い歴史があって、卒業生たちがこの場所を守りたいっていうことで、ずっとグリーンツーリズムの宿としてやってきた場所だから、私たちが変えてしまうのもどうなのかなって思って、
何度もここの方たちとお話させてもらって、どういう形ならできるのかを相談しながら、ここまできたっていう感じです。

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→なるほど。そんな経緯があっったんですね。そして、今後いろんなことをやっていきたいと思っていると思いますが、その辺りを最後に教えてください。

栗林:みなみさんりくブックスとしては、まずテーマを決めて、本を選書するというのをやっていきたいなと思っています。いろいろな活動をしている人たちが関わっていてくれているので・・・それぞれが同じジャンルが好きというわけでもない・・・そしてそれがおもしろいと思っているので、そういういろいろな人たちが参加して、同じテーマだけどそれぞれの理由で本を選んで紹介していく、で、その過程があるからこそ、本が好きな人だけじゃなくて、その人に興味がある人も本を読んでみようかなと思ってくれて、この場所に来る人も増えて、本に時間をつくっていけたらいいなと思っています。

また、8月になると、校庭にあるプールに子供たちが遊びに来るんですね。ここは宿泊施設だから<外から来た人が泊まる場所>という風に思っている人が多く、中に入ってこなかったりするので、夏休みに来た子供たちが・・・絵本とか課題図書とかもあるので・・・プールの後に来れる場所になったらいいなと思っていて・・・お母さんたちもプールを待っている間、ここで本を読んでくれたらいいですし、そうやっていろんな人たちがここに来てくれたらと思います。

→ここは誰かスタッフが常駐しているのですか?

栗林:それが入谷時間というか・・・入谷ルールみたいな感じで誰も悪いことをしないから(笑)スタッフがいなくても、ずっと開いています。

→えー(笑)、トラブルにならないといいですね。

栗林:はい。

→栗林さんたちが来れる時は来ているんですよね?

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というわけで、みなみさんりくブックスのメンバーたちが立ち上げた『かもしか文庫』の簡単ではありますが紹介でした。まだまだこれから、いろんなことがあるとは思いますが、それも含めて、自分たちの視点で、自分たちの方法で、楽しく、刺激的に続いていくことがいいのかなと思います。そして、Book! Book! Sendaiも引きつづき、遊びに行ったりしながら、一緒にできることなどを考えていきたいと思います。

栗林さんが話していた、入谷時間・入谷ルール、これ、本当にあります。そして、それはとても魅力的で、つい、また南三陸に行きたくなります。

◇    ◇    ◇

「かもしか文庫」
利用時間:9時-19時(夏場)、10時-17時(冬場)

みなみさんりくブックス
webサイト:http://minamisanrikubooks.tumblr.com/

南三陸
校舎の宿・さんさん館
webサイト:http://san3kan.sakura.ne.jp


2016年のBook! Book! Sendai

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Book! Book! Sendaiの代表の2人、

武田こうじ(詩人)と前野久美子(火星の庭)、

閉店後の火星の庭で打ち合わせ中です。

今年2016年のBook! Book! Sendaiは、

昨年までとは大幅に変った内容でお送りいたしますので、

この後の情報をどうぞお楽しみに~


2016.4.13

ご無沙汰しております。

4月に入って「今年の一箱古本市はないんですか?」というお問合せを度々いただいています。

いつもなら開催日程や募集のための告知を始めている時期です。

あらためて、多くの方々に愛されていたイベントだったのだと感じています。

毎年楽しみにしてくださった方々には申し訳ないのですが、

昨年発表したとおり今年開催する予定はありません。

昨年6月を最後に、 Book! Book! Sendaiの活動から一箱古本市の開催はなくなりましたが、

やる気がある人が現れて継続していけばいいなと思っていました。

実際に、新たに主催をしたいという方から相談を受けたりもしましたが、

今年6月の実現までには到りませんでした。

ここ8年は毎年この時期になると 6月のイベントに向けて、

準備に追われまくる日々を送っていましたが、

今年はそれがなくなり何というか変な感じです。

同じような気持の方もいらっしゃるのではないかと思います。

サンモールの一箱古本市は私たちも大好きです。

なので、実際になくなるというのは、 自分たちで決めておいて言うのもなんですが、

思った以上にさみしいです。

ですが、次の展開を見据え8年間続けてきた一箱古本市に区切りをつけて

現在は新たな企画を準備中です。

今後の活動もどうぞよろしくお願いします!

(これに関しては近々お知らせ予定です。)

今年6月の開催は間に合わなくても、

一箱古本市を主催したいという方がいらっしゃいましたら、

準備期間の作業や当日の動きなど、

私達のこれまでの経験から得た各種のノウハウをお伝えすることができると思います。

イベントという、多くの人に楽しんでいただくための影の役割をする地味な作業ですが、

当日の参加者、ご来場者の笑顔を見れば苦労が吹っ飛んでしまう、

そんなことに喜びを感じられる方が向いていると思います。

一箱古本市の主催に関心のある方、

まずは声をかけてもらえたらと思います。

その際は、お名前(フルネーム)、年齢、お電話番号を必ずお知らせください。

2016年4月

Book! Book! Sendai

武田こうじ 前野久美子 連絡先:

info@bookbooksendai.com