NEWS STAND SATAKE(宮城県南三陸町)インタビュー

☆震災後に誕生した【本と出会えるスペース】
  を訪ねるインタビューシリーズ、
    第7回をお届けします。


    お話:NEWS STAND SATAKE/佐藤知里さん、長井龍太郎さん
    聞き手:Book! Book! Sendai 武田こうじ、前野久美子
    2017年11月8日インタビュー

南三陸の復興商店街に『NEWS STAND SATAKE』(ニューススタンド サタケ)という、ちょっと変わったかわいいお店があります。

B!B!Sはイベントを終えてからの2年間、仙台から宮城に視野を広げ、新しくできた「本と出会える場所」を訪ねてきましたが、この『NEWS STAND SATAKE』が最後に取り上げる場所になります。

震災はたしかに、ぼくたちの「なにか」を変えたんだと思います。その「なにか」はそれぞれで、それを比べることも、声高に伝える必要もないとは思いますが、やっぱり「なにか」が変わったんだと思います。いや、変わったというより、気づいたという方が、ぼくにはしっくりくるかな・・・。その「なにか」について、B!B!Sでもいろいろ話してきたし、考えてきました。(みんな、Diaryって覚えている?)

そして、それは答えがないものだとわかって、こうして、いろんなところを訪ねて、話をしてきました。そのラストが、この『NEWS STAND SATAKE』というのは、なんか、うれしいです。

ちょっと、BB!Sから話が逸れますが、『NEWS STAND SATAKE』の佐藤知里さんは音楽もやっている方で、ぼくのポエトリーリーディング・ライブでも何度か一緒にやってもらっていて、その最初のリハの時に、バンドのメンバーに「知里先輩」と呼ばれていたので、ぼくもいつの間にかそう呼んでいました。文中でもそう呼んでしまっているのですが、その呼び方でないと・・・会話の感じが変わってしまうので、そのまま載せています。お許しください。

それでは、小さいけど、強くて、やさしくて、しっかりとした「なにか」を感じさせてくれる、『NEWS STAND SATAKE』の話を読んでいただけたらと思います。

武田

   ◇   ◇   ◇   ◇

前野久美子(以下:前):オープンしたのは、いつですか?

佐藤知里(以下:佐):ここができたのが、2017年の3月です。最初は父が新聞の折り込みの作業場を仮設で建てて、やっていたのですが・・・。

前:そこ、通ってきました。

武田こうじ(以下:武):あっ、さっきぼくたちが通ってきたのは、仮設商店街だったところで・・・知里先輩が言っているのは、また別で・・・自分たちで仮設のプレハブを建てたということですね。

佐:はい。

前:あっ、別の場所なんですね。

武:もともとは志津川の商店街に文房具屋さんとしてあって・・・。

前:震災前に?

佐:はい。

武:それがなくなってしまって・・・その後は、仮設のプレハブの作業場でやっていたと・・・。

佐:そうです。

前:震災の時はどれくらい被害があったのですか?

佐:自宅と店舗が流されて・・・。

前:そうなんですね・・・。

武:震災の時は知里先輩は仙台で働いていた?

佐:いや、大学生の4年生です。卒業式間近で・・・。

前:就職先は決まっていたんですか?

佐:ほとんど決まっていたんですが・・・まだ内定は出ていなくて、連絡待ちみたいな時に震災があって・・・。

前(健):ウエブで見たんですが、大学の時は建築の勉強をしていたんですよね?

佐:はい。

前:いきなりしゃべりだした・・・この人誰か、わかります?

佐:旦那さんですよね・・・。

前:そうです(笑)。

武:話が戻りますが(笑)、震災の時は仙台で・・・。

佐:バンドの練習をしていました。

前:あの時間に練習していたんですか?

佐:卒業ライブが近かったので(笑)。

武:南三陸がすごいことになっているのはわからなかったよね・・・。

佐:うーん、でも情報で10mの津波が来たって聞いて・・・これはダメなんじゃないかって思っていました。

前:ダメだっていうのは・・・。

佐:自分の家とか、街とか・・・。

武:連絡がついたのは、いつだったんですか?

佐:一週間くらい後ですかね・・・。

前:えっ・・・。

武:その一週間はとても心配だったよね・・・。

佐:そうですね・・・連絡しても、つながらなかったので・・・充電ができないとは思っていたのですが・・・。

武:そうですよね・・・だけど、ぼくたちはその頃、同じ屋根の下にいたんですよね。

佐:そうなんですよね・・・友だちのマンションに泊めてもらっていたのですが、それが武田さんと同じマンションだったんです。

前:そのときは出会ってはいなかったの?

佐:まだでしたね。知り合ってから、イベントの打ち上げで話していたら「あれ?」ってなって(笑)。

武:そうですね。まだ出会ってはいなかったですね。家族と連絡がついた時は安心しましたよね・・・。

佐:はい・・・。

前:電話?

佐:メールです。「みんな無事です」って犬の顔文字が入っていたので、犬も無事なんだなって思って。

前:犬も無事だったんだ!

武:この取材が終わったら、会いに行きます、その犬に(笑)。ミルク(武田さんの飼い犬)の友だち。

前:そうなんだ(笑)会えるんだ。

武:みんな、助かって良かったですね。けっこう、危険な状況だったんですか。

佐:父は配達をしていた時だったみたいで、間一髪だったみたいです。

武:そうだったんですね・・・。こっちに戻ってこれたのはいつですか?

佐:4月頃ですね。それまでは来る手段がなかったんです。

武:その時、家族のみなさんに会って・・・みなさんはどんな感じでしたか?

佐:うーん・・・なんとも言えないですね・・・ぽかーんとしているというか・・・。家がちょっと離れたところにグッシャとなってあったんですよ。

前:えっ。

佐:そこに行って、いろいろ取り出したりしましたね。

前:使えるものはあったんですか?

佐:それがあったんです。

武:就職は断ったんですか?

佐:いや、震災でバタバタしてしまっているからと、向こうから採用を断られました。

武:そうだったんですね・・・。

前:じゃあ、これからどうしていくか・・・考えなくてはいけなかったんですね。

佐:はい。あまり考えられなかったですけどね・・・。このまま街がなくなったら、どうしようとか思ったりもしていました。

前:こうして、その時の話を聞くと、こうしてここにいる(復興商店街に出店している)のはすごいことですよね。

佐:そうですよね。

武:ぼくが出会って、いろいろ話をするようになった頃は、「こっちに帰ってきたい」と言っていて、「それはやっぱり、震災があったから?」って聞くと「そうです」って答えていたから、あの頃はもう気持ちはかたまってきていたんだと思うんだけど・・・。

前:それが3年前?

佐:こっちに戻ってきたのが3年前だから・・・それより1年くらい前ですかね・・・。

武:そうでしたね・・・。改めて、聞くとどういう流れだったんですか?

佐:まず、父がここにお店を出すということを決めたんです。

武:ということは、ここをかさ上げして、復興商店街をつくる計画が出てきて、そこに自分たちのお店を出そうとなったんですね。

佐:はい。

前:それは知里さんをあてにしていたのかな?

佐:そうではないと思うのですが・・・。

武:戻ってきてくれたらいいな、くらいはあったでしょう?

佐:そうですね。仙台の本屋で働いていたので、本を置いたらいいんじゃないかとか、雑貨も置いてみようとか、そんな話にはなっていたので。

武:それは、戻ってきてほしかったということですよね。

前:知里さんはもともとは南三陸に対する想いはどうだったんですか?

佐:以前は戻ってきて、こっちで仕事をするというのはなかったですね。とりあえず、出ていくみたいな感じで・・・父も自営業だけど「つがなくていいから」って感じでしたね。

前:ということは、お父さんも変わったってことなんですね。

佐:そうだと思います。

武:知里先輩の中では戻ってくるのは、迷いはなかったんですか?

佐:仙台で仕事もしてきたけれど、「これがしたい」っていうのを見つけられたわけじゃなから・・・地元に帰ろうって思えてきたんです。

前:仙台では本屋で働いていたこともあったんですか?

佐:そうですね・・・ジュンク堂とあゆみブックスですね。

前:本っていうのは、もともと好きでした?

佐:子供の頃は図書館に通ったりしていました。ただ働く時は本屋で働きたいというより、いろいろ探していくうちに、本屋がいいんじゃないかと思ったんです。それで、実際に働いてみると、楽しくて・・・自分に向いているんではないかと思い始めました。

武:どういうところが楽しかったのですか?

佐:毎日、新しい本が入ってくるので、その箱を開ける時が好きだったり・・・開店前に本が並んでいるのを見るのも好きでしたし、お客さんと話をするのも好きでした。

武:そうなんですね。大きな本屋で働いていて、いろいろ覚えたり、感じたりしていたんですね。それは、きっとここでも活かされていると思うのですが・・・ここに出すって決めて、だんだん現実的になっていくわけで・・・そうした中、自分のやりたいことをお父さんと話したりはしたんですか?

佐:父は大体の構想を練っていて・・・。

前:どんな構想だったんですか?

佐:新聞の作業場を昼間は解放して、お茶を飲めるようにするとか、新聞社が出している震災関係の本を並べたり、とかいろいろ考えていましたね。

前:お父さんはもともと新聞関係のお仕事だったんですか?

佐:父はやっていなくて、知り合いが新聞関係の仕事をしていたんです。だけど、震災の時に辞めることになって、父が引き継いだんです。

武:もともとは文房具屋さん。

前:あぁ、そうか。本屋ではなかったんですね。

佐:はい、教科書とかドリルは扱っていましたが。

前:なるほど。

佐:創業したのは、私のひいおじいさんです。お米も売っていました。

前:ひいおじいちゃんから、商売人なんですね。

佐:はい。

武:ということは・・・さっきの質問の答えとしては、ここに新聞の折り込み場を作って、昼はカフェになって、コーヒーが飲めて、本も売っていて、というのを揉めることなく決めていったんですね。

佐:はい。

前:ここは賃貸なんですか?

佐:はい。

武:ここは10年契約なんですよね?

佐:そうですね。

武:この取材の中ではだいたい聞いているんですが、前野さんのブックカフェ開業講座(2015年石巻まちの本棚にて開催)を受けているんですよね。その時、気持ちは固まっていた時期だったんですか?

佐:あの時は・・・もう、こっちに帰ってきて、やろうと思っていた時ですね。

前:あの講座・・・後半はワークショップといって・・・みんなでお店の見取り図とプランを書いてもらうというのがあったのですが・・・わたしはその時知里さんを知らなかったのだけど、一番いいなと思うプランが知里さんのでした。すごく面白いと思ったんです。なので今回お伺いできるのが楽しみでした。

武:へぇー、そうだったんですね。知里先輩は実際、受けてみて、どうでしたか?

佐:考えが深まったし、実際に「イイ」と言ってもらえて、うれしかったですね。

武:お店に関して聞きたいことが、2つあって・・・1つは本屋と雑貨を置くお店として立ち上げて、半年くらい経って(取材時は2017年11月)どうだったかな?っていうのと、やっぱり、ここ・・・復興商店街にあるっていうのは、どうなのか・・・お客さんも一見さんが多いと思うし・・・その辺りは聞きたいんですよね。

前:観光客が多そうだもんね。

佐:はい・・・観光客が8割くらいですね。

武・前:あぁ。

武:お客さんはこの商店街に来て、基本、海鮮丼とかを食べていくわけですよね。

佐:そうですね。それが目当てですね。

武:その人たちがここに寄っていくわけですか?

佐:うーん、ここは場所がちょっとメインのところとはちがっていて、いきなり、ここに入っては来ないんです。(駐車場に面していて、商店街の入り口にある)

武:まずは、素通りしていくわけですね。

佐:そうですね、まずはみなさん、中に入って行きます。

前:導線がそうなっちゃっているんですね。この場所になったのは希望だったんですか?

佐:はい。夜中、トラックが来て、新聞を運ぶので、駐車スペースに面していないとダメだったんです。

前:あー、そうかぁ。

前(健):その作業に、ここを使っていると。

佐:そうですね。このテーブルも作業ができる高さになっているんです。

前:そうなんですね。特注ですか?

佐:父が作りました。

前:えー、すごい。

佐:壁にも新聞が入っているんです。

前:うわぁー、ほんとだぁ。

武:すごいねー。

佐:ありがとうございます。

武:ここに来る方たち・・・本を手にとってくれるのかな?

佐:そうですねぇ・・・本はここじゃなくても、手に入れることができるものなのですが・・・ここで手に入れたいと思ってくれる方もいますね。なので、ここで買いたいと思わせたいのと、地元でつくっているものもあるので、そういうものを紹介していきたいと思っていますね。

武:オリジナルの雑貨なども多いですよね。

佐:そうですね。その辺りは反応がいいですね。

武:カフェの利用はどうですか?

佐:うーん・・・。

武:来てみると、けっこうコーヒー飲めるところありますもんね。

佐:そうなんですよね・・・混む時はすごいんですが、サッーといなくなったり・・・やっぱり、観光バスで来ている方が多いので・・・時間が決まっていたりするので、ゆっくりしていくというのは難しいというのがあるんだと思います。

前:そうかぁ。そういうのがあるんですね。観光バスで来るみたいのは、今でもけっこうあるんですか。

佐:そうですね、ありますね。企業の研修で来たりとか。

前:修学旅行とかもありますか?

佐:そうですね、あります。

前:今もそういうのはあるんですね。

佐:もうちょっと、地元の人に来てほしいというのもあるんですが・・・。

武:そうですよね・・・。

佐:地元の人に話を聞くと・・・まだ、この商店街自体に来たことがない人がいたりするんです。

武:そうなんですね、混んでいる印象があるのかな?

佐:そうだと思います。なんにしても、今は観光客メインで考えられていますからね。

武:そうですよね。

前:南三陸には、本屋はあるんですか?

佐:ないんですよね・・・。帰ってきて「本屋がなくなってしまった」と思って・・・。

武:そういう意味でも、ここが知ってもらえるといいですよね。

佐:はい。古本もちょっとですが、置いているので・・・定期的に棚を見にきてくれる人もいます。

前:それはいいですね。

武:さっき見たんだけど、店頭にお店の案内みたいなものが貼ってあったんですが、あれは毎月くらいで出しているんですか?

佐:あれは、余裕がある時です(笑)。

武:そうなんだ(笑)。そこに書いてあったんだけど、古本市やったんですよね?

佐:はい。やりました。お店の前に本棚を置いて、在庫を増やしてやってみました。

武:どうでしたか?

佐:けっこう、見に来てくれる人がいて・・・売り上げはそこまでじゃなかったけど、毎月やってもいいかなと思いました。

武:いいですね。少しずつ、イベントなども考えていく感じですね。実際、やってみて、半年経って、自分が考えてきた感じでやれているんですか?

佐:充実はしていますね。いっぱいいっぱいですけど(笑)。

前:飲食もやっているとねー、時間取られますよね。

佐:はい。

武:ブックブックのこのサイトで出会ってきた人たちは、いい意味で、自分のペースでやる人たちなんですね。そんな中、知里先輩は観光客を相手にしていくということで、自分のペースではできない・・・その忙しさが大変でもあり、やりがいでもあるのかなと思いますがどうでしょう?

佐:そうですね・・・たまに思うのは、ここじゃなく、なにもないところにポツンとあったら、どうだったのかな、と。今と全然ちがうのかなと・・・商店街の中にあるからやっているのかなと。

武:正直・・・ここじゃなかったら、まだ出していないと思うな(笑)。いつまでに出さなきゃってなって、一気に進んだというか。

佐:そうですね。最後の一か月くらいで一気にやったんですよね。3月3日にオープンって決まっていたので。

前:オープン日が決まっていたんですか。

佐:はい。さんさん(3月3日)、なんです。ほんと、準備が大変でしたね。

武:でも、それを必然と思えるからイイんだと思いますよ。この商店街の中でもちゃんと個性を出せているし。

前:雑貨の品揃えがいいですよね。オリジナルものも多いし。

佐:ありがとうございます。

武:最後に知里先輩は将来的な目標みたいのってありますか?

佐:やっぱり、もうちょっと地元の人に来てもらいたいから、イベントやワークショップ、ライブみたいなものをやっていきたいですね。

前:子ども向けの読みきかせとか、いいですよね。

佐:やりたいです。

武:あと、ぼくたちもライブ、やらなきゃですね(笑)。

佐:そうですね(笑)。

そして、ここでお店を一緒にやっている彼氏・パートナーの長井龍太郎さんにも登場していただきましょう!

武:このお店をやるってなった時は、どう思いましたか?

長井龍太郎(以下:長):あっ、やるんだぁって感じでした。

武:最初は自分に関係することだと思っていましたか?

長:思っていなかったですね。誘われていなかったので(笑)。

武:佐藤家のこと、みたいな(笑)。

長:そうです。

武:どういう話から、一緒にやっていくことになっていったんですか?

長:そうですね・・・ぼくは石巻に住んでいて、石巻で仕事もしていて・・・武田さんも一度来てくれたことありましたよね?

前:そうなの?

武:そう、行ったことある。花とかお茶とかつくっていたんですよね。

長:そうです。

武:すごい、しっかりやってて・・・花とかお茶の話をいろいろしてくれたのを覚えています。

長:そうでしたね。それで・・・こうして、今は南三陸なので・・・石巻や南三陸で仕事をしていると「復興のこととか考えて、ここで仕事しているの?」って言われるのですが、ぼくはそういうことを考えたことはなくて・・・家も壊れたけど、直したし、そこで仕事もあったので、それが自分にとって普通だったんです。そんな中、ぼくはちいと暮らしたくて・・・。

武:ちいって知里先輩のこと。(前野さんに)

前:了解(笑)。

長:そのためにはこの街に来なくてはいけなかったんです(笑)。

前:なるほど(笑)。

長:「内装とか、誰がやるの?」って聞いたら、「まだ決まっていない」ってことだったので、自分の親父ができるので、一緒にやったりして、いつの間にか、ここにいましたね。

武:じゃあ、正式に誘われた、とかの記憶はなしですか?

長:そうですね・・・ちいがコーヒー屋さんやるのに、コーヒーが飲めなくて・・・。

武:そうだったの?

佐:そうですね、あまり飲んでいなかったですね。

前:それで、カフェは自分が担当すると。

長:はい。コーヒーに関しての仕入れとかもやって、内装もやって・・・そういう流れで、ここにいることになったんです。

武:そうだったんですね。必然的な流れだったんですね。

長:はい。前の仕事・・・花やお茶をつくったりするのも、やりがいがあって良かったんですが、ずっと続けていく中で、いろいろ思うことも出てきて、そのタイミングでこうなっていったんだと思います。

前:今って何歳?

長:27です。

前:若いー!

長:ぼくたちがこの商店街で一番年下です。

前:早い開業になったんですね。

長:そうですね、毎日が大変です。

武:大変だけど、楽しい?

長:そうですね。やってから、いろいろ見えてくることもあって、そこからやりたいことも出てくるので。

武:なんか、すごいマスター感が出ていますよ(笑)。

長:ありがとうございます(笑)。


南三陸さんさん商店街 map
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【Link】

南三陸さんさん商店街
https://www.sansan-minamisanriku.com

上サイト内・NEWS STAND SATAKEのページ
https://www.sansan-minamisanriku.com/shoplist/news-stand-satake/


古書水の森(仙台市青葉区)インタビュー

お話:古書水の森/上野好之さん
聞き手:Book! Book! Sendai 武田こうじ、前野久美子
2017年10月25日インタビュー

これが今年最後のブックブックの記事になります。
(年明けにもう一本、予定しています)

今年最後にここで紹介するのは、今年五橋にできた「古書 水の森」です。

前野さんから「おもしろい人がいる」「おもしろい人がおもしろい店を出した」といつも聞かされていたので、かなりドキドキしていたのですが…実際に行ってみると、ぼくの想像を超えて、ヤバかったです。

詳しくは以下の取材内容を読んでいただきたいのですが、これでは全然足りません。ぜひ、お店に実際に行っていただきたいです。

20年くらい前に持っていたけど、以前付き合っていた人の家に置いてきてしまった、あの本が。15年くらい前に友だちと夜通し語り合うことになった、あの本が。必死で探してネットでやっと見つけて買った、あの本が。今年になって、どうしても見たくなって探していた、あの本が。「古書 水の森」にはあったんです。

取材中も視線が泳いでしまって、棚から棚へ旅していました。

金、作るぞー。
そして、もう一度「古書 水の森」に行くぞー、と心に誓ったのでした。
                            (武田こうじ)

      ◇    ◇    ◇

武田(以下:武):前野さんと出会ったのはいつくらいだったんですか?

上野(以下:上):そうですねー、話をしたりするようになったのは、ずいぶん後で、お店(火星の庭)には10年くらい前から行っていましたね。

前野(以下:前):じゃあ、ブックブックを始める前だ。

武:そんな前なんですね。その時は、お仕事はなにかしていたんですか?

上:その時はもう前の仕事をやめて、ブラブラしていた時ですね。だけど、年齢的には「なにか次の仕事しなきゃ」とは思っていましたね。

武:年齢的に、そろそろマズイなと(笑)。

上:そうですね(笑)。

武:でも、その漠然となにかしなきゃと思っていた中で、いつからこういうお店を出したいと思うようになったんですか?

上:いやぁ、あまり考えていなくてずっと、好きなことをしていたいなと思っていたんですよね…その延長上ですかね…。そんな風に考えていた時に、現実として年齢の問題が迫ってくるじゃないですか(笑)。なんかしなきゃいけないという感じで…。

前:その頃って30代になっていました?

上:そうですね。

前:やっぱり、20代とはちがう?

上:ですね。20代はなにも考えていなかったですね。なんか、このままいろんなことが続いていくような気がしているというか。

前:あー、なるほどね。

上:30過ぎて、マズイマズイってなって…。物件とか探し始めるんですね。でも、審査があって落ちるんですよね。そんなことがいくつかあって、それで前のお店の場所を見つけるんですね。でも、その時も「どうせ落ちるだろう」って思ってて…基本、ネガティブなので。

武・前:(笑)

上:どうせダメだろうって思っていたんですけど…そうしたら「いいよ」って審査が通って…そこからですよね。

武:今までブックブックで取材してきた方たちとは、上野さんはなんか違うんですよね…。今までの方は、本屋を出す、ブックカフェを出すという目標があって、動いている感じでしたが、上野さんはなんていうか…アーティストになりそうな感じというか…自分で写真を撮りたいとか、自分で表現したいみたいなのはなかったんですか?

上:ないっすねぇ。うーん、全然ないかもなぁ…自分で表現したいとかは…。

武:そうですか…。では、やはり、こうして今の在庫につながるように、作品を集めていくのが好きだったということですか。

上:そうすっね。

前:わたしは以前に聞いたことがあるんだけど…こういう世界にハマっていくきっかけが面白いんだよ。

武:そうなんですか?

上:前に仙台に住んでいた時なんですけど…ゴミがけっこう昔は落ちていたじゃないですか(笑)。

武・前:(笑)

上:いまはあまり落ちていないけど。

武:ゴミ捨て場ですよね?

上:そうです。本とかもけっこう落ちてて…マンションのゴミ捨て場に、別冊太陽の演劇特集が落ちてて…ほかにも落ちていたんですけど、それが一番気になって、土方巽と大野一雄が載ってて「なんだこれは」ってなって、そこから広がっていったんですね。

武:それ、いつくらいの時ですか?

上:19くらいですかね。

前:よく落としててくれたねー。

武:落としていたんじゃなくて、捨ててたんでしょう(笑)。

上:(笑)それまで、ふつうのポピュラーなものが好きだったんですが、そこから変わりましたね。

前:突然変わったんですね。

上:そうですねー、19歳って、サブカルエリートとしては遅いじゃないですか。

武・前:(笑)

前:インターネットはあった?

上:まだですね…いや、あったかな。でも使えないですよね、まだ。

前:その頃は、古本屋は行きました?

上:いや、行ってないですね。東京に行ってからですね。

前:そうかぁ…じゃあ、東京行ってから、本格的に、って感じだ。

上:ですね。

武:東京に行ったのは、お仕事で?

上:はい。

武:じゃあ、お金もあって、いろいろ手に入れることができるようになったんですね。それはどれくらいの期間ですか?

上:5~6年くらいかな。でも、その時は音楽も好きだったので、ひたすらCDとレコードを買っていましたね。

武:そうだったんですね。東京はいろいろ手に入りますもんね。

上:ですね。職場が新宿だったので、仕事終わって、ディスクユニオンに行って、買って…「また買ってしまった、お金を使い過ぎてしまった」ってなって…だけど、仕事のストレスでまたすぐに買いたくなっちゃうんですよね(笑)。

武・前:(笑)

武:それで…5年~6年東京にいて、帰ってきたんですね?

上:はい。でも、帰ってきてからも、よく東京には行っていたんですよね。東京に未練がある感じで。

前:東京にいたかったのかな?

上:いたいけど…いれないみたいな感じですかね。家賃とか考えると…。

前:再就職して、また暮らしていこうとは思わなかった?

上:そうですね…なにも考えていなかったのかな…好きな音楽聞いて、本を読んでいたかっただけというか…。

武:そうしていくうちに、さっき話していた「目に見えないプレッシャー」を感じて、なにかしなきゃと思っていくんですね。

上:そうですね。

前:その頃、ネットで販売を始めたんですよね?

上:はい。ネットの使い方がわかってきて、ちょっとやってみたりはしていましたね。

武:それはお店の名前がもうあって、やりとりをしていたんですか?

上:いや、まずはヤフーオークションですね。やってみたら、できるようになって。

武:それはまだ仕事ではない感じですね。

上:そうですね…。これも、なにも考えていない感じです(笑)。

武・前:(笑)

上:家に居づらいじゃないですか…なにもしていないので…なので、公務員の仕事をするって親の手前は言っていて、ほんの少し勉強していましたね。

武・前:(爆笑)

上:で、実際に試験を受けて(笑)。

武:受けたんだ(笑)。

上:それで、落ちて…。「ダメだったよ」って言って。

武・前:(笑)

前:こうしてお店を出すことは、親は理解してくれたんですか?

上:どうだろう…諦めたんじゃないですかね(笑)。

前:(武田に向かって)仕事の仕方っていうのを聞いた方がイイんじゃない?

武:なんで、ぼくを通して質問するんですか(笑)。

前:いやぁ(笑)、私はほとんど知っているからさ。なにも知らない武田さんの立場から聞いてみてほしいの。

武:だそうです(笑)。では、話を整理しながら聞きますが…私物のCDやレコードを売っている時期があって、本も集めていて、だけど、仕事だとは思っていなかったでしょうから、どの辺りからやりたいことが固まってきたのでしょう?

上:それがはっきりはないんですよね。

武:ネットで売ることなどで、手ごたえを感じていくみたいのもなかったんですか?

上:それがなかったんですよね。周りをみて…東京の店とか行き続けていたので…もっと、しっかりとした品揃えじゃないといけないと思っていました。やっぱ、ネガティブなんで「まだダメかな」「もっとかな」ってなっちゃうんですよね。

武:そうなんですね…。漠然と本屋を出したいって感じはあるけど…みたいな。

上:そうですね。それはありました。

武:行っているお店がすごいお店ばかりだったので、理想が高くなってしまったんですね。

上:そうですね。東京のお店行ったり、仙台だと火星の庭に行ったりしていて・…やりたいな…でも、後一歩踏み出せないな、みたいな感じでしたね。

武:そんな中、在庫は増えていきますよね。「水の森」という屋号をもって、販売を始めたのは、いつ頃ですか?

上:テナントを借りれてからですね。2014年の3月からですね。テナント借りて、そこから「古書水の森」ですね。

前:身近な人に相談したりしましたか?

上:店始める前に、地元の先輩で服屋やっている先輩がいたんですね。その先輩と久しぶりに会って、「なにしているんですか?」って聞いたら、「古着、売っているんだ」って教えてもらって、逆に「上野、なにしているの?」って聞かれて、「私もいろいろ、売りたいんですよ」って言って、一緒になんかやってみようかってなったんですね。

武:それはいつ頃なんですか?

上:それが震災の後ですね。で、その先輩ともめて。

武・前:(笑)

上:で、仲直りして。

武:よく仲直りできましたね。

上:まぁ、距離を置いただけでしたね。そんなにもめたわけじゃないですね、いま思うと。その先輩と一緒に最初に古書組合に入ったんですね。

武:そうだったんですね。

上:それで、またちょっともめて…その後、自分一人で入り直したんですね。

前:けっこう慎重なんだよね。

武:そうですよね。繊細だからですよね。

上:そうです(笑)。傷つくのが嫌なんです。

前:でも、すごく人には興味があるんですよね。

武:そういう意味でも、最初に言ったようにアーティスト側なのかなと思ったんですけどね。その繊細な感じが。

上:あぁ、たしかに。期待していると、めっちゃ傷つくじゃないですか。オープンの日、たくさん人が来るとか…まぁ、前野さんしか来なかったんですけど…まったく来ないと考えていると、そんなに傷つかないじゃないですか。

前:あのさぁ…でもさぁ…そう言うけど、ぜんぜん宣伝していないもん(笑)。

武:だから、それも傷つくからじゃない(笑)。

上:そうそう(笑)。

前:(笑)あぁ、そうかぁ!

武:すごいわかる!(笑)。

前:わかるんだぁ。ナイーブだねぇ(笑)。

武:でも、その傷つく、傷つかないで考えると、ぼくはネットの方が、面倒が多いような気がしちゃうんですけどね。

前:なんで?

武:良くも悪くも、常にやりとりをしていないといけない感じがあるというか。

前:あぁー、武田さんはSNSとかぜんぜんやっていないもんね。

上:えー、そうなんすか?

武:スマホも持っていない…。

上:携帯はあるんすか?

前:ない。自分からかけられない…ブックブックの携帯だけ(笑)。
(なぜか前野さんが答える)

上:えー(笑)。

武:だから、そういうやりとりがぜんぜんわからなくて、たまにそういうやりとりにふれるとすごい驚いちゃいますね。みんな、こんな風にやっているんだ、って。

前:フェイスブックのイイね!とか見ると、たしかにびっくりする時あるよね。

武:そう、みんな敵なんじゃないかって(笑)。仲良くしている風も嫌だし、やりあっているのも嫌だし。

上:そうですね。アピールばかりは嫌ですね。

前:あー、そうだよね。

武:人はそういう…自分をアピールするのが好きだったんでしょうね。

上:ですね…。

武:なので、ぼくからすると、その中でやってきた上野さんはすごいというか。

上:まぁ、いろいろ悩んできましたけどね。

前:なにが一番悩んだことですか?

上:そうですね…人と顔を合わせていないので、冷たいって思われるのが多かったですね。「ネットは金のやりとりだけだろ」みたいなディスは多かったですね。

前:あー、なるほどね。あと、ネットを下に見るような感じも以前はあったよね。

武:えー、どういうことですか?

上:知り合いに言うと…「ネットだけでやってんだぁ」みたいな感じで言われたりとか。

武:店もないくせに…みたいな感じですか。

上:そうです。

前:わたしも昔、お店のサイトでネット販売を始めただけで、「そういう方向に行くんだ」みたいな感じで言われたことあるよ。

武:今とはだいぶ違いますね。

上:ですね。音楽好きな人には音楽のことでディスられて、本好きには本のことでディスられるというのがありましたね。

武:そんな中、上野さんは理解し合える友だちはいたんですか?

上:そうですね…まぁ、一桁ですね。

武:そういう友だちは応援してくれる感じでしたか?

上:ですね…あまり、なにも言ってこないというか。友だちの友だちになると、なんか言ってくる感じですね。そういう期間はちょっと辛かったっすね。

武:孤軍奮闘してきたわけですね。

上:そうっすね。まぁ今も孤独ですけど…ネットでやってもリアクションはあまりないので…。

武:そうかぁ、そういうところは難しいところなんですね。

前:だから、お店をやってみたいというのもあったのかもしれませんね。

上:そうですね。人とちょっとは関わるというか。

武:そして、お店の中でいうと、こういう(店内を見渡して)写真集専門にやっていこうと思ったのはどういうことですか…いや、写真集専門ではないか(いろんなジャンルの本を見ながら)…。

上:そうですね。専門ではないですね。写真集が多いのは、写真集が好きで、たくさん集めていたからですね。

前:日本の写真集に対する人気というか、写真集のマーケットが世界的に大きいのもあるよね。これだけのものがあって、多くの人が欲しているという。

上:そうですね。

武:これだけのものを集めてこれたのは、やはりいろいろ勉強してきたわけですか?

上:そうっすね…でも、ぜんぜん詳しくはないですね。ただカッコイイから買いたい、って思う。

武:そういうデータ的なことは詳しくないけど…

上:そうです。ネガティブ感覚でここまで来たので…。

武:2014年に東勝山に店舗を構えるわけですが、その時は普通にお店として開けていたんですか?

上:一応、そのつもりではあったんですが、自分がいる時だけ開けている感じでしたね。

武:(前野さんに)そこにも行っていたの?

前:行ってない。

上:ないですね。2人しか来なかったんで。

前:(笑)

武:えっ、どれくらいやっていたんですか?

上:2年と10カ月ですね。

武:約3年で2人?

上:はい。

武:逆にその2人がすごい。

前:私の知っている人は何人か行ったんだよ。でも開いていなかったんだって。

上:えー、そうなんすか。

武:そういう意味では他にも行ったけど、やっていなかったって人はいるのかもしれませんね。

上:出会えたのは2人だけだった(笑)。

前:でね、あえて言うとね…上野さんは、ネット上にお店の名前が出てて、仙台だってわかるわけだから、自分のような人は電話して、いつやっているか聞いて、なんとか来るはずだと、そういう人を待っていたって言っていた。

上:そうですね。待っていましたね。

武:なんか、ナイーブなわりに、変なところは挑んできますね。

上・前:(笑)

武:ぼくが思うに、そういう人はいたと思いますよ。でも、そういう人は上野さんと同じような人で…ナイーブで電話できないタイプの人たちだと思うな。

前:それはどうなの?そうは思わない?

上:いや、「来い」しか思えないっすね(笑)。「3年間孤独だったんだよ」しか言えない。

武・前:(笑)

武:みんな、繊細ってことですね(笑)。でも、コミュニケーションは濃くなってしまうというか。

前:リサーチし過ぎなんだよ。実際に会う前に、いろいろ調べてくるから(笑)。

武:いやぁ、前野さんはほんと、そういうのないからね。ブックブックの初めの頃もぼくがなにか言うと「考え過ぎ!」ってよく言われたからなぁ。「そんなに考えていたら、なにもできない!」とかね(笑)。

上:わかりますね。

前:(笑)

武:同じ商売人でも、ほんとタイプのちがう2人なんでしょうね。

上:ですね。うわぁって思うくらい、前野さんはガァッていきますよね。止まらないですよね。おれは立ち止まりますからね。

前:(笑)

武:(笑)それでいて、2人ともすごい真剣に仕事しているわけだから、不思議だよね。

前:まぁ仕事ですので。

武:そして、ここに(五橋)来たのが今年(2017年)で、今は週一で開けているんですよね。

上:はい。土曜日に開けています。

武:かつての2人だった時よりは、来ていますか?

上:そうですね、その時よりは来てもらっていますが、まだまだですね。

前:ショップカードも作ったんだよね。

武:他の宣伝は?

上:ツイッターはやっていますね。

武:仙台にこういうものを欲している人はいますか?…あっ、そうか、送り先は仙台だけじゃないのか。

上:ですね。全国ですね。

前:仙台にはあまりいないかな?

上:今のところ、そんなにいないかもって感じですかね。

武:ここには宝ものがたくさんありますけどね。

上:ここにあるのは、ネットの販売には載せていないものが多いです。

武:えっ、そうなんですか?

上:そうです。

武:これは来てみるしかないですね。

前:そうだよね。

武:うーん、なんて言うんだろう…以前、上野さんがゴミ捨て場で見つけた本で人生が変わったように、ここに来て、ふれた本で人生が変わる人もいるかもしれませんよね…そう考えると、入り口というか、ちょっとの宣伝は必要かもしれませんね。

前:たしかに、手に取りやすいものがちょっと店頭とかにあるといいかもしれませんね。

上:一応、あるんですけどね。

前:けっして、敷居を上げているわけではないけど、品揃えに妥協はできないって感じですよね。

武:ここはこれでがんばってほしいというのもありますけどね…。<なんか、かわいいカフェができました。本も置いてあります>だけでは街は寂しいっていうか。

上:そうですよね。そういう意味では反応があるといいですね。

前:なかなかマニアックに趣味を深める人が減ったよね。

上:それはあるかもしれませんね。こういうことに時間をかけたりするのは面白いんですけどね。

武:さっき(取材を)始める前に聞こえてきたんですけど、イベントに出たりはしているんですか?

上:あー、この前、前野さんに誘われて、塩釜の美術館のイベントを手伝ったんですね。その後、夢メッセのイベントにも誘われて…はじめは一人で無理そうなので断ろうと思ったんですけど、手伝ってくれる人がいたので(笑)…出てみました。

前:石巻の『まちの本棚』に出張販売したり、メディアテーク一階の「カネイリ」さんにも委託販売したりしているよね。

上:はい。

武:そういうフットワークの良さはあるんですね。そして、前野さんが誘って、一緒に出たりとか、そういう関係もいいよね。

上:やっぱ、勉強になりますね。前野さんの一言、いいんですよね。買う一押しになるというか。ぼくは何もしない感じだったんですけど、一言ってあってもいいのかなって。

武:前野さん、すぐ横に来ますからね。

前:(笑)

上:そういうところですよね。

前:だけど、ほんと心からなんですよ。その人に対して、この本はおすすめですよって素直に思っているんです。

上:それはいいですよね。ぼくはそれができないから。

武:声のかけ方って大事ですよね。

前:店によってやり方はそれぞれだから、上野くんの接客も好きという人がいるからいいんですよ。

上:いや、それがすごい勉強になりました。ちょっと、やってみようかなと。みんなにやって失敗すると、傷つくので(笑)。ちょっとだけ。

     ◇    ◇    ◇

 上野さんは数年前のある日ひょっこり宮城県古書組合の交換市(古本屋が集まる競り市)に現れて、アート系写真集をぐわっと高値で競り落としました。話をすると、もうずっと前からネット古書店をやっていて、実店舗はなくお客様からの買取もないのに膨大な在庫を持ち、かなりの量の古本を売っていました。ネット販売をほとんどしていなかったわたしは、上野くんの話のすべてが新鮮で、「この人は新しいタイプの古本屋だなぁ」と思いました。その後上野さんは用事のついでによくお店に寄ってくれるようになり、話す機会が増えていきました。もともと倉庫兼事務所を郊外に持ちながら、街なかに好条件の物件を見つけて再オープンしたのが2017年2月。こうして22坪の店内に写真集、デザイン、絵本、アートの本が大量に、しかも珍しいものばかり並ぶ、専門古書店、古書水の森が登場。その後、宮城県古書籍商組合の副理事長にも就任。今回のお話は開店から半年強たった頃に伺ったものです。
ご本人はよく自分はネガティブだと言いますが、それだけ真面目で目標が高い人ということなのだと思います。今回の話は、そんなニュータイプの古書水の森がどうやって生まれたのか。具体的な数字や開業ノウハウというよりは、上野さんがお店を始めるまでの経緯、人となりみたいなものが伝わり、水の森のお店に対してはもちろん、古本屋への興味のきっかけになったらと思いました。
仙台は2017年に老舗古書店が3店続けて閉店するという大きな出来事がありました。古本屋のなかでは規模が大きい王道の古本屋ばかり。本好きの人達からは落胆の声を多く聞きました。このような状況でこれから古本屋がどうやってお店を続けていけるか、上野さんは様々な視点から考えている人だと思います。ご興味を持たれましたら、是非お店に行ってこの続きをご本人から聞いてください。
                                                      
                                       Book! Book! Sendai/前野久美子

おまけで、上野さんから。

以前の店舗(水の森にあった)の時によく聞いた音楽で
最近思い出してまた聞いた曲
 
定番の曲かもしれませんが、
よろしくお願いいたします。
 
Mike Westbrook  – Waltz 
Shira Small – The Line of Time and The Plane of Now
Guru Guru  –  Taoma
Jan Jones  –  Independent Woman
Legacy – Monday blues 
Skip Mahoney – Janice
Jaime Roos – Candombe del 31
TENNISCOATS Music Exists disc
Mkwaju Ensemble
Piry Reis

です。

古書 水の森
980-0022
宮城県仙台市青葉区五橋2丁目5-6 イワヌマビル102号室
営業時間=毎週土曜日 13:00〜19:00
 時々お休みする土曜日もあります。
 詳しくはTwitterをご覧ください。
Twitter/ @koshomizunomori


ここまでのインタビュー記事一覧 (2017年11月時点)

2016年度と2017年度、Book! Book! Sendai(以下B!B!S)は、
前年度まで続けてきたイベント運営の活動を一旦お休みして、
あらためて、
B!B!Sの最初のテーマであった「街で本と出会う」ことに目を向け、
今、街で起き始めていることを調べ、考え、
このB!B!Sのwebサイトを中心にみなさんに伝えていけたらと思います。

東日本大震災から数年が経過し、
宮城県のいろいろな場所で、本のあるスペースを作る動きが出てきています。
今年度のB!B!Sでは、それらのスペースを作った/作ろうとしている人々に
取材をさせていただき、発表していきます。

★第1回は、
宮城県南三陸町の「みなみさんりくブックス」(2016年7月31日UP)
http://bookbooksendai.com/?p=1483

お話:みなみさんりくブックス/「かもしか文庫」栗林美知子さん
聞き手:Book! Book! Sendai 武田こうじ

★第2回は、
宮城県石巻市の「石巻まちの本棚」(2016年9月3日UP)
http://bookbooksendai.com/?p=1537

お話:石巻まちの本棚/勝邦義さん、阿部史枝さん
聞き手:Book! Book! Sendai 前野久美子

★第3回は、
宮城県多賀城市の「絵本図書室ちいさいおうち」(2017年3月2日UP)
http://bookbooksendai.com/?p=1602

お話:絵本図書室ちいさいおうち/佐々木優美さん
聞き手:Book! Book! Sendai 武田こうじ、前野久美子

★第4回は、
仙台市宮城野区小田原のカフェのある絵本屋『メアリーコリン』(2017年5月26日UP)
http://bookbooksendai.com/?p=1637

お話:メアリーコリン/阿部理美さん
聞き手:Book! Book! Sendai 武田こうじ、前野久美子

★第5回は、
宮城県丸森町の『スローバブックス』(2017年9月21日UP)
http://bookbooksendai.com/?p=1664

お話:スローバブックス/佐藤浩昭さん
聞き手:Book! Book! Sendai 武田こうじ、前野久美子

     

     ☆それぞれの画像クリックで該当記事へ移動します!

     ☆この後、第6回・第7回も、アップ予定です!

     

      【LINK】

     みなみさんりくブックス
     http://minamisanrikubooks.tumblr.com

     石巻まちの本棚
     http://bookishinomaki.com

     絵本図書室ちいさいおうち
     http://ameblo.jp/tiisaiouti116/

     メアリーコリン
     http://www.marycolin.com

     スローバブックス
     http://slowba.exblog.jp