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絵本図書室ちいさいおうち(宮城県多賀城市)インタビュー

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お話:絵本図書室ちいさいおうち/佐々木優美さん
聞き手:Book! Book! Sendai 武田こうじ、前野久美子
2016年10月20日

みなさん、こんにちは。前回の年末対談(吉岡さん・前野・武田)の記事から、もう2か月・・・というか、今年ももう2か月が過ぎ・・・年度で言えば、もうすぐ年度末。今年度のB!B!Sの活動はイベントをやらずに、このサイトが中心ですが、それも1年が過ぎようとしています。そもそもいろんなことを感じ、考え、こうして動いてきたわけですが、それは必ず次の展開につながっていくと思っています。「来年度の話もしなきゃね」と前野さんと話しています。

その前に、多賀城に取材に行ってきました。新しい家庭文庫ができたのです。なまえは「ちいさいおうち」。ぼくの世代で家庭文庫と言うと、なんとも言えないなつかしさがあって・・・B!B!Sを始めてから、本の話をすると、たくさんの方が子どもの頃の思い出として、または本と出会った場所として、家庭文庫の話をしてくれました。

なので、いつか家庭文庫の話もしたいなぁと思っていたところ・・・多賀城に新しく出来たということで、お話を聞いてきました。

コーディネートは多賀城市市民活動サポートセンターのセンター長・中津涼子さん。B!B!Sのメンバーとしてもいろいろお世話になっています。彼女の案内で「ちいさいおうち」に向かいました。

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静かな住宅街にあって、毎週水曜日の開館で・・・正直言うと・・・普段イベントを企画したり・出ている自分としては、「ほんとうに来館する人いるのかな?」と失礼ながら、思ってしまったのですが・・・その辺りは、時間はかかっても、確実に、丁寧に、足を運ぶ子どもたちが増えてきているようで・・・こうした時間の流れ方や、関わり方にも教えられることが、いろいろある取材でした。

武:はじめられたきっかけはなんだったのでしょう?

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佐々木優美さん(以下・佐):8年前まで小学校の教師をしていたんですね。受け持った子たちも低学年が多くて・・・絵本はずっと好きで学生時代から買っていたのですが・・・教師の時に絵本を大人買いして(笑)、教室に置くようになったんです。そして、朝の会などで読み聞かせしたりしていたのですが・・・何年か前に、新聞に家庭文庫の草分け的存在の松尾文庫の30周年の記事が載っていたんですね。それを読んで、自宅でこういうことをしている活動を知って、いつか仕事を辞めたら、自分もできたらいいなぁと思ったんですね。

武:なるほど。

佐:年取って・・・いつか、やりたいなぁ、っていう夢ですね。現実性はあまりなかったのですが。

武:では、ご自分の思い出として、子どもの頃に家庭文庫に通っていた、ということではないんですね?

佐:はい。家庭文庫自体を知らなかったんです。

武:そして、教師をやめる時が来ると・・・。

佐:はい。2009年に早期退職するんです。親の面倒を見なきゃいけないというのがあって。

武:そうでしたか。

佐:でも、それは表向きの理由かな(笑)。ほんとうは、もういいかなぁみたいな気持ちもあったんです。

武:というと?

佐:学校ではなかなか自分のやりたいことをやることが難しく思えたんです。以前、朝日新聞のオーサー・ビジットを知って、その時2年生の子を受け持っていたので、五味太郎さんを呼んでみたいな、と思ったんです。結果、抽選でダメだったのですが、それを実現したいと思っても、学校の中だといろいろ手続きが大変で・・・私は偏屈だから(笑)、結構言いたいことを言っていた方だと思うのですが、やはり学校だとなにかやりたいと思っても、実現するのは難しいなぁと思いました。

前:そうなんですね。昔はもっと自由だったんですか・・・?

佐:そうでしたね。先生方の個性を生かす場面もありましたね。

前:やはり、お仕事としてはすごい忙しいのですか?

佐:そうですね。仕事量がとにかく多くて・・・しかも、それが子どもに還元できるものならいいのですが・・・もちろん、仕事というのは、そればかりではなく・・・以前はそれでも学校に意見を言える感じはあって、それが反映されたりもしたのですが、最近は自分の考えを言っても「一応ご意見としてうかがっておきますが、この方向でやってください。」で終わってしまって、意見もだんだん言わなくなっていってしまったんですね。そういうフラストレーションがたまっていきました。

前:そうなんですね・・・。

佐:そんな流れで、主人に相談したら、親の介護が必要だったこともあり、「やめていいよ」と言ってくれたんです。

前:すんなりやめれたんですか?

佐:そうですね。私が言いたいことを言っていたのもあってか(笑)「やめます」「わかりました」という感じでした(笑)。

一同:笑

佐:ただ、もちろん、これは私の側の話ということでもありますよね。どっちの立場にも考えはあるだろうし。

武:たしかに、そうですね。でも、実際息苦しくなってきているような気はします。ぼくが子どもの頃の学校の話とかすると、今の子たちは信じられないんじゃないかな。

前:たとえば?

武:野球の日本シリーズを授業中に見た記憶がある(笑)。

前:私も百恵ちゃんの結婚式見た記憶がある(笑)。

武:今、そんなことやったら、炎上だね(笑)。

一同:笑

武:辞められてからはすぐ動き出したのですか?

佐:2009年の3月に辞めたのですが、母が寝たきりで・・・私、実家が石巻なんですね。それで、平日も通って・・・やりたいって思っても、実際に動くって難しいですね・・・本もここには置けなくて、レンタル倉庫を借りて、置いているような状態だったんです。

前:そうですよね・・・締め切りがないというか・・・いつ始めていいかわからなくなる。

佐:はい。そんな感じで2年が過ぎてしまったんですね。だけど、2011年のお正月頃に「いよいよやるぞ」ってリフォームしていたんですね。そして、99%出来た頃に震災が起きて・・・母が海の近くだったので亡くなってしまって・・・。

前:そうだったんですね。

佐:それで、やっぱりバタバタして・・・しかも、レンタル倉庫も水を被ってしまって、本が半分くらいダメになってしまったんですね。

前:えっ。

佐:床上50cmくらいだったので、上に置いてあったのは大丈夫だったんですが。「あー」って思っていた時に・・・私、新聞に縁があるのか・・・震災の次の年、2012年の1月の新聞で塩釜の長谷川さんという方の記事が載っていて、自宅が被害にあって、本もダメになってしまっているけど、全国からの支援で塩釜で文庫を開くというのを見て・・・長谷川さんという方は宮城県のいろんなところでいろんなことをやっている方なんですけど・・・こんな近くにも同じようなことを考えている方がいるんだと思って、長谷川さんに連絡を取って・・・そうすると、なんだろう・・・同じ志を持っている方と話していると動くんですよね。

前:そうですよね。

佐:それで、長谷川さんも2012年の12月に塩釜の自宅で「海辺の文庫」というのを開くんですね。そして、その手伝いをしながら、「じゃあ、私も」ってなって。

前:お手伝いをしながら、やり方もつかんでいったんですね。

佐:そうですね。長谷川さんも顔の広い方で、いろいろな方を紹介してくれて・・・松尾先生の高校の教え子でもあったんですね。それで、憧れの松尾文庫にも連れて行ってもらったりして。

前:一気にいろいろ動きだしましたね。

佐:はい。それで、2013年の4月から、開きました。

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武:先ほど、同じ志を持ったもの同士で、いろいろ学ぶことがあったと仰っていたのですが、どんなやりとりがあったのでしょう?

佐:そうですね、具体的なノウハウというよりは、考え方だったり、想いを伝え合ったりしている感じでしたね。また、私はずっと仕事をしてきて、地域のつながりとかはわかっていなかったのですが、長谷川さんは塩釜でずっとやってこられたから、そういうことの大切さも教えてもらいました。

武:ご主人やご家族はどんな感じでしたか?

佐:そうですね・・・主人は一人が好きな人なので、自宅に不特定多数の人が入ってくるのは、嫌がると思っていました。ただ、リフォームする時に「こんなことがしたい」って話したら、反対はされなかったですね。そして、始めたら意外にもすごく協力的で・・・。

中津涼子さん(以下・中):この前のイベントの時も大活躍でしたよね。

佐:そうなの、そうなの。そこは、すごいイイ誤算だったんです(笑)。

一同:笑

佐:あと娘が二人いるんですけど、上の子は塩釜で保育士していて、今は育休中で、友達連れてきてくれたり、イベントの時も手伝ってくれたりしています。

前:いいですね。

佐:下の娘も仕事しながら、あちこちでチラシ配ってくれたりしているので、家族的にはすごい恵まれています。

前:ご家族の協力は大きいですね。

武:子どもたちの利用状況はどうですか?

佐:それが一番の問題です・・・そうですね・・・多くて10人、来ないかな・・・5、6人来ればいい方かな。なんて言うのかな・・・チラシだけで、知らない家に来て、チャイム鳴らして、玄関から入るっていうのは、難しいことだと思います。だから、人が人を呼ぶのがいいのかな・・・一度来た人が「こういうところあるから、行かない?」って言うのを期待しているんですが、なかなか広がらないかな・・・。

武:そもそも、今は気軽に他所の家に遊びに行ったりしなくなりましたもんね。

佐:そうですね。あと、習い事とかで子どもたちも忙しいですしね。そんな中、多賀サポのイベントに呼んでもらって、チラシを配ったりして・・・あと、ブログもがんばって更新して、少しでも中の様子がわかってもらえるといいのかなと・・・私もマメにいろんなことをやれればいいのですが。

中:多賀城は子育て世代が多いんですけどね・・・。

佐:ただ慣れてくると、自分の居場所として来てくれる子がいるんですね。親でもなく、先生でもなく、近所の大人に会うって感じで。本を読むのも大事ですが、そうして来てくれるのも大事だと思っています。

前:佐々木さんは子どもたちが来ている時はどうしているんですか?

佐:小学生だと自分で読めるので、そういう時は私も本を読んでいたりして、まだ本が読めない小さい子だと読んであげたり、おはじきとかで一緒に遊ぶ時もありますね。

武:そういう話を聞くと、一人一人と関われる大切さがあるのかなと思います。さっき、10人は来ないって言っていましたが、逆にそうして増えていってしまうと、その関わり方もできなくなってしまうのかなと思いますね。

佐:たしかに、それはありますね。たまに、ドドドってたくさん来る時があるんですが、それはそれで対応ができない感じもありますね。

前:滞在時間はどれくらいですか?

佐:小学生だと学校終わってから来るので、3時30分頃来て、だいたい30分から1時間くらいかな。

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武:それでは、ちょっと角度を変えて質問しますが、多賀城という街、地域性をどう思いますか?

佐:(ちょっと考えて)うーん、そうだなぁ・・・私も含めて、発信が少ない街だなぁと思いますね。私も長谷川さんや多賀サポを通して、いろいろわかってきたように、ただ暮らしているだけではわからないことがあるなぁと思いますね。

前:いろいろな人はいるんだけど、なかなか見えにくいってことですかね?

佐:そうですね。いろんな人、いますね。だけど、見えにくい。

前:それが見えてきて、やっている側と求めている側が重なっていくとイイですけどね。

武:多賀サポでは、それは感じているの?

中:そうですね、発信したがっている人も、情報を欲している人もいますね。多賀サポもブログをやっているんですが、街のイベントとかでも載せると、すごいヒット数があがるんですよね。だから、もしかしたら、そもそもの情報が少ないのかなって思ったりもしますね。

武:多賀サポ自体にまずは来てもらいたいよね。

中:そうなんですよね・・・なので、コンビニとかスーパーとか、そういうところにもチラシとかを置いてもらっています。

前:それ、いいね。

中:佐々木さんも情報誌を見て、来てくれたんですよね?

佐:そうです。ハチミツ屋さんで見て、行きました。仕事している時は多賀サポさんを知らなかったんです。

前:そうなんですねー。ここに来る時は登録が必要なんですか?

佐:はい。震災みたいなこともあったので、親の連絡先も含めて、名簿がありますね。

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武:今後はなにかやってみたいことはありますか?

佐:そうですね・・・とくに大それたことはないんですが・・・イベントはいつも冒険で・・・開いた年の12月にクリスマス会をはりきってやったのですが、2人しか来なくて、主人がサンタになって2階で待っていて、長谷川さんも読み聞かせで来てくれたんですが、大人の方が多いってことで・・・すごいショックで、イベント恐怖症になったんです。でも、いろいろ考えていても、仕方ないって思って、またやって、次の年のクリスマス会は10人くらい来て、ちょっと勇気が出てきて、また次のイベントも企画するようになって・・・年に何回かイベントをやりたいなって思います。でも、やはり淡々と開け続けることが大事かなと思います。大それた夢では、小学生が大人になって、自分の子どもが生まれた時に来たら「まだちいさいおうちあったの!」というのが一番の夢ですね。


stock books & coffee / インタビュー

B!B!Sの今年最後の記事は、立ち上げメンバーで、『ふきながし』の編集者で、
今年惜しまれつつも閉店してしまった【stock books & coffee】(以下、stock)の吉岡英夫さんとの対談です。

閉店といっても、次の展開をいろいろ考えているようで、その辺りも含めて、いろいろなお話を聞きました。吉岡さんはstockを経営しつつ、会社員をしてもいて、そのことも今回は正直にいろいろと話してくれました。もちろん、B!B!Sを一緒にやっていた頃の話も・・・。

B!B!Sでは、いつも夢見がちなぼくと前野さんをうまくコントロールして、イベントをいろいろな側面から支えてくれたのが吉岡さんでした。ぼく自身はstockでリーディングライブも何度かやらせてもらい、個人的にも思い出が多いので、寂しい気持ちがとてもあります。だけど、B!B!Sは続くし、stockも続きがあるので、今後も良い関係でいたいし、またどこかで交わる時があると思っています。

ただ・・・話はいろんな方向にいき、まとめるのがかなり困難な状態で・・・なんとか、こうしてUPできるまでにしましたが、みなさんにお付き合いしていただけるか不安でもあります。年末の忙しい時期ですが、ちょっとでも楽しんでいただけて、なにか感じるものがあれば、うれしいです。  武田

     
     吉岡英夫:1975年仙台市生まれ。
     仙台の暮らしをテーマにした冊子『ふきながし』の制作に関わる。
     2008年に仙台市青葉区一番町にbooks&coffee stockを開業。
     2008年、Book! Book! Sendaiの発足メンバー。
     2016年9月に惜しまれつつstock閉店。

     
     聞き手=
     Book! Book! Sendai 代表/武田こうじ(詩人)
     Book! Book! Sendai 副代表/前野久美子(book cafe 火星の庭)

武:stockは結局何年やったんですか?

吉:9年になりますね。

武:そうだよね・・・B!B!Sの立ち上げの時にはあったもんね。

前:そうだね。

吉:武田さんの詩のライブ、やったのって今年でしたっけ?

武:あれ、去年じゃなかったかな?

吉:そうですよね・・・なんか、久しぶりな感じですもんね。

武:英夫さんに会うのは、久しぶりかも。stock行くのは、平日が多くて。

前:平日だとユリコさんだもんね。

武:そう。

前:実はstockの話って、今まであまりしてこなかったし、聞いたこともあまりなくて・・・。

吉:ぼくの中で出来なかった、というのがありますからね。

前:そうだよね。

(吉岡英夫さんは他に仕事をしていたので立場上stockのことであまり表に出ることはなかった)

吉:だけど、登記上の代表はユリコなので、大丈夫なんですけどね。

前:二人の中では、どんな感じで分担とか話し合ってきたの?

吉:ぼくがどうしてもやりたかったので・・・ユリコには「店番だけして」ってお願いして、あとはなんとかするからって感じで始めましたね。

武:どうしてもやりたかった?

吉:そうですね。ぼく、高校生の頃から喫茶店がやりたかったんですよ。

前:それは仙台で?

吉:はい。

前:どういう喫茶店?

吉:ほんと、ふつうの・・・それこそ、イベントとかしない、街にただある喫茶店というか。

武:今でこそ、イベントとかするの、当たり前だけど、昔はそういうお店はなかったよね。

吉:ほんと、いつも普通に営業していて、サラリーマンとかコーヒー飲みに来て、一言二言会話する・・・そういう普通の喫茶店がやりたかったですね。

武:あのぉ・・・記事にしちゃっていいのかな?所謂、二足の草鞋的なことって。

吉:うーん。

武:まずいよね・・・。だけど、このサイトの連載って、本と出会える場ができていくこと・・・できてほしいことをテーマにしているから、あえて、こういう話って、みんな、興味深く読むんじゃないかなって思うのだけど・・・。

前:そうそう。イレギュラーな例としても、貴重だよね。

吉:社名ださなきゃ、いいですけどね・・・(決心したように)こういう話も出していきましょう!

武:ありがとう。一応、原稿チェックはしてもらうからね。それで、確認してください。

吉:はい。

武:ちょっと嫌な聞き方になってしまうかもしれないけど、逆にいえば、仕事をやめてまで、やろうとは思わなかった?

吉:いや、やめたかったです(笑)。

武:どうしても昔からの夢の実現をしたかった?

吉:ぼくはずっとやりたくて、それはユリコもわかってくれていて、一緒にやれたら楽しいだろうなぁというのがあって、いろいろ・・・椅子とかテーブルとか揃えていって、部屋がいっぱいになるくらい溜まってきて、それを見た時に、これはやらなきゃダメだなと思ったんです。それを見て、急に本気モードになりました。

前:その前に仮でやったり、イベントでコーヒー入れたりとかはしなかったの?

吉:しなかったです。

前:段階なく、いきなりだ(笑)。いまは、最初無店舗でやる人が多いよね。

吉:流行りじゃないかもしれないけど、たしかにそういう形の人は多いですね。だけど、ぼくはそういうやり方は興味ありませんでした。自分の場所がほしかったんです。そこにいれば約束しなくても、フラッとくればいつも会える・・・そういうのがやりたかったんです。

前:そうかぁ。本を置いていくという感じではなくて、最初は場を作りたかったんだね。

吉:そうですね。本屋になるイメージではなかったですね。元々、あの場所は『ふきながし』を作る工房として借りました。遊びに来られるアトリエみたいな感じで、来てくれた人にお茶とか出していて。そしたら、いつしか物販もするようになって。それで『ふきながし』の工房を家に戻して、お店になっていったんです。

前:『ふきながし』が大きかったんだね。場所をつくる意味でも。

吉:そうですね。最初はすべて手作業でしたからね。

前:『ふきながし』を何号くらい出した時にオープンしたの?

吉:手でやっているということは・・・。

前:1号とか?

吉:いや、4号までは手でやっているから。

前:えっー、すごいね!

武:たしか、4号で詩を載せてもらったような気がする。

吉:そうそう。

前:今、思うとすごいよね。プリンターで出力して、本にしていくなんて。

吉:熱量以外のなにものでもないですね(笑)。

武:初め見た時、驚いたのを覚えている。

前:へぇー。

武:なんていうか・・・ぼくは自分の本を出すのが、ずっと目標で・・・でも、それは出版社からちゃんと出すのだけではなく、自分で作るっていうのも・・・自分でできないからか憧れがあって・・・。

吉:そうだったんですね。

武:『ふきながし』を初めてみたのは、とあるカフェで、友だちが「これ知っている?」って持ってきてくれて、すごいクオリティ高くて、おしゃれな感じで、こういうの作っている人いるんだぁって、驚いて・・・それで帰ったら、吉岡さんからメールが来てて、それが最初で、その日に見たばかりだから、すごい驚いた(笑)。

前:えっー、それ、すごいね(笑)。

武:『ふきながし』という本を作っているものですけど、って。

前:面識ないのに?

吉:ラジオは聴いていましたけどね。

前:ラジオ、聴いてたの? 武田さんのラジオ?

武:ぼくのラジオの話になっちゃうと、それで終わっちゃうから(笑)。

吉:仕事で県外に8年行っていたから、聞けたのはちょっとですけどね。

前:8年も行ってたんだぁ?

吉:そうです。だけど、その頃からお店はやりたくて、時間があれば東京とか行って、お店に使えそうなものを探して、買っていました。あんまり行くから「近所にお住まいですか?」って聞かれたりするくらいで(笑)。

武:だけど、そうやっているうちに、実現しなくなっちゃう人も多いような気がするけどね。お客さんのプロになっていくというか。

吉:ぼく、オーディエンスのままでいるのがダメなんです。昔からなんですけど、あっち側(ステージの方をイメージして指さす)に行きたかったんです。

前:そうなんだね。

武:すごい、よくわかる。

前:武田さんはそうじゃなきゃダメだもんね。やっぱ、プレイヤー気質なのかな。

武:プレイヤーだけではなく、現場のスタッフとか関係者とか、コンサートでもスポーツ観戦でも、見に行くと周りのことがすごい気になっちゃうんだよね。

前:なに、それー(笑)。

吉:いや、わかる(笑)。ぼくも黒子になりたかったところもあったから・・・今もそうなんですよね・・・作品展やっていても、自分の作品展ではないから。

前:たしかに、プロデューサータイプっていうか、編集者的なところはあるよね。

武:吉岡さんはぼくより、イイ人(笑)。みんなをすごいまとめてくれる。ぼくはすぐに何でもケチをつけちゃうから。

吉:(爆笑)

前:武田さんはプロデューサーとか、無理。

武:でも、前野さんもやっぱり、すごいと思う。いろいろ鋭いことを言うし、なにをやるにも甘くない・・・だけど、みんなに頼られて、人が集まってきて、それをちゃんと受け止めているから。

前:なにこれ、中年の褒め合い会なの(笑)。

武:でも、正直言ってしまえば、それだけ・・・イベントを仕掛けたり、誘われたりする機会も多いわけで、それは大変だと思うし、いろいろな距離感が変わっていってしまうと思うんだけど・・・前野さんはどこかでお店とB!B!Sに戻ってきた感じがあったし、吉岡さんもstockの喫茶スペースをなくしてまで、やりたいことをやろうとしていたよね。

前:そうだよね。stockの9年、いろいろ変わったよね。

吉:そうですね。最初は中が見えない、ふつうのドアでしたからね。

前:だったけ?鉄のドアみたいな?

吉:そうです。今はガラスのドアですけどね。

前:毎日は開けていなかったんだっけ?

吉:週に4日、開けている感じでしたね。

武:でも『ふきながし』も順調だったじゃない?

前:そうだよね。すごい人気があった。

武:で、お店も人気があった。だけど、仕事はやめられなかったの?

吉:はい(笑)。

武:それは会社の問題じゃなくて、家庭人として?

吉:はい(笑)。はっきり言って、会社はやめると言えば、それまでですからね。この仕事は自分じゃなきゃできない、という世界ではないので。だけど、やはり、家庭を考えた時に、安定しているというのも、大事なことでもありますからね。

前:ユリコさんもがんばるからなぁ。

吉:そうなんですよ。店番をお願いしていて、すごい、自分を上げていくタイプで、帰ってくるとヘトヘトになっています。

武:そうなんだよね。

吉:ぼくなんかは「敵、作ってもいいや」くらいな感じでやっちゃいますからね。(同意を求める感じ)

武:ぼくはちがうな(笑)。

吉:武田さんもそうでしょう(笑)。

武:いや、敵を作ろうとは思っていないの・・・気がつくと、敵が増えているの。

前:一番、困るパターンだ(笑)。

武:でも、それで言えば、B!B!S始めた8年前って、みんな、敵ではなかったけど、それぞれ点で、その点の範囲を超えないでやってきたのに、それを超えて、集まろうとなったのはすごいことだと思った。

前:そうだよね。

吉:ぼく、ちょうどその直前にみんなと出会っていますね。

武:ぼくはほとんど、みんな、B!B!Sで初めて話した感じだった。

前:吉岡くんとも?

武:ちょうど知り合ったくらいだったよね?

吉:そう、さっき話した原稿をお願いした頃です。

武:なんか、それぞれ強烈な感じで、印象深かったかなぁ。

前:そうだよね。

武:さっき、それぞれの点って言ったけど、お店やギャラリーって、常連の人ができていくじゃない。お客さんは話したくて来ると思うし、だけど、火星の庭とstockはカウンターもなく、話しやすそうで話せないって感じもあるけど、その辺りはどうなのかな。

吉:そうですね。いつも来てくれていた人もいたけど、ほどよい距離っていうのはあったと思いますね。あと、仲間うちで集まっているっていう感じもあまりなかったです。

武:でも、元々やりたかった喫茶店はどうだったの?

吉:それはカウンターがあって、お客さんは話をしにくるイメージはありましたけど、実際に作っていくと、スペースやデザイン上、なくてもいいかなとなっていきました。

前:カフェはだいぶ続けていたよね?

吉:7年くらいはやっていましたね。

武:ぼくが言うのもなんだけど、stock史を考えると・・・『ふきながし』があって、それが話題になって、だけど、そこからなかなか出さなくなって・・・カフェもしっかりやって、人気もあって、だけど、カフェスペースをなくしてしまって・・・みたいな、変化になにかメッセージがあるような気がするんだよね。

前:現状で満足していないっていうのは、すごい伝わるよね。模索している感じがあって、後半の・・・月に一回展示やイベントをしていくっていうのは、ほんと、すごかったよね。

武:その辺りは、どうだったのですか?

吉:そうですね・・・7年くらい喫茶やっていて、ちゃんとオペレーションできるようになってきたんですけど、中途半端なものを出すのがどうしても嫌で・・・ハムトーストとかクロックムッシュとか出しているお店はたくさんありますよね。だけど、意外とちゃんとしているものはなくて、そういうのを見ると居たたまれない気持ちになるんです(笑)。

前・武:(笑)

吉:自分がそんな感じでやっていたら、自分を傷つけることになる。それが嫌なんです。そうなると、平日仕事をしながら、夜に仕込みをして、週末ちゃんとしたクオリティのものを出せるとなると、ホットサンドとかホットケーキになってしまうんですよね。ベシャメルソースと一時期はクロックムッシュ用のパンとかも焼いていたんだけど、それを続けるのは難しくて・・・中途半端なものを出したくないので・・・そうなると、メニューはホットサンドとホットケーキになっていくんです。そうしたら、ホットケーキブームが来ちゃったじゃないですか。

前:世の中的にブームになったんだ。

吉:はい。「ホットケーキがおいしいって聞いて来ました」みたいなお客さんが増えたんです。うれしいことでもあるんですが、本とか展示にまったく興味がない感じで来ちゃうから、どうなのかなぁと思ってしまって。

前:ホットケーキ屋さんみたいになっていたんだ。

吉:ネットの食べ物サイトにもそう書かれていたし、SNSとかでもそんな感じで話題になって・・・最初の頃は媒体に載せるのも絞っていたんですけど、もうそういう時代でもないかと思って、取材がきたら、なんでも受けていたんですね。そしたら、パンケーキ本みたいなものにも載るようになってしまって・・・。

前:そうなんだぁ。じゃあ、カフェのクローズ・・・テーブルと椅子をやめたのは、そのブームの反動もあるの?

吉:まさに、ですね。

武:けっこう、悩みました?

吉:そうでもないですね。なんとなく考えていたのは1年くらいあったのかもしれないけど、ある年末に「よし、年明けからやめよう」って思いました。展示スペースが喫茶スペースの中だったので、どうしても見てもらいづらい感じだったし、展示の説明とかをしても、困っているお客さんとかもいて・・・ぼくがやりたいことにかけたい時間とかけざるを得ない時間のバランスが・・・ある程度は仕方ないけど・・・あんまりにもかけ離れてしまったんです。

武:そういう実感があったんだね。

吉:ホットケーキ8:展示2、くらいになっていましたからね。

前:それはキツイね。

吉:このままいけば儲かるけれど、仕事しながら、なんでこういうことをやっているのか、と考えたら、やりたくないことをやっている場合じゃないなと思いましたね。

前:たしかに、そこは一本でやっている人とはちがうシビアさがあるのかもしれないね。

吉:そうですね、一本でやっていたら、死活問題で出さざるを得ないというのもあるかもしれないですね。笑われたことありますからね。

前:なんで?

吉:興味ない人に必死に展示の説明して(笑)。

前:そうなんだ(笑)。

武:だけど、ちょっと視点を変えると、ギャラリーと飲食のバランスの難しさというのも考えなきゃいけないよね。stockに限らず、よく「壁、使っていいよ」とか言ってくれるお店はあるけど、まず見てもらえないし、むしろ見に行きづらかったりもするし。

吉:そうですよね。お茶したくなくて、ただ展示見に行きたい人は行きづらくなっちゃいますよね。

武:やる側としては、アクシデントを望むじゃない?展示に興味がなくても、お茶しに来たら、思いがけなく作品に出会うみたいな。

前:そうだよね、だから、カフェとかでやりたいんだよね。

武:そうそう。だけど、今、それはないよね。はっきり分かれている。

前:そうなんだよね。

武:あえて、このサイト用の質問をしたいのだけど、お店をやっている二人にきいてみたいんだけど・・・もちろん、理想はあるじゃない?それが100だとしたら、どこら辺を維持しているものなのか、聞いてみたくて。やっぱり、常に100目指しているのか。80くらいを常に出せれるようにしているのか、答えてもらえるなら、聞いてみたいんだけど・・・どうでしょう?

前:やっぱり、お店を始める時のエネルギーはものすごいから、すべてに関して完璧にやろうとするんだけど、そのエネルギーは恋愛と一緒で持続はしないんですよ。だけど、別のスキルは上がってくるから・・・なんて言うんだろうな・・・一点だけでは判断できないというか、たとえばメニューのクオリティだけでは判断できないって感じはあるよね。逆にいえば、メニューとかに関しては、オープンの時が一番エネルギーがあったね。だけど、それは続けれないものなんだよね。

武:なるほどね。あくまで「スタート」なんだね。始めることが「ゴール」になっちゃうとなかなか続かない。

前:それはあるよね。

吉:理想のお店ってことで始めるわけではないですしね。ぼくは100%自分の理想のお店にしちゃわないで、余白を残しておくことを心掛けていましたね。お客さんが作っていってくれるところというか。あと、ぼくみたいに全く関係のない仕事というのは珍しいかもしれないけど、今は副業というか、他の事業とやっているところは多いと思いますね。そうじゃないとやっていけないところが多いかもしれません。

前:本のセレクトは、仙台にあまり置いてない本というのを意識したりしたの?それとも、自分の置きたい本だったの?

吉:ぼくが買いたい本を置いていましたね。

武:B!B!Sに誘われた時はどんな気持ちでしたか?

吉:正直言って、ぼくは「仙台を本の街にしよう」とか知ったこっちゃなかったですね(笑)。ぼく、本がそんなに好きじゃないんで。

前・武:(笑)。

吉:ぼくは前野さんと武田さんが好きだったから、二人が楽しくなるなら協力したいな、と思ったんです。

武:(前野さんを見て)思いの外、照れているでしょう?

前:いやぁ、いい話だと思って(笑)。

武:(笑)でも、一番最初のメンバーってみんな、独特だったよね。

前:たしかにね。

武:吉岡さんもよく「古本市だけやっていてはダメですよ」って厳しく言ってきてくれていたしね・・・いろんな人が集まってきて、すごい大変だったけど、さっきの話でいうと、アクシデントはあったよね。全然関係ないところがつながって本を出版したり、本のレーベルが立ち上がったり、ぼくも詩集を出してもらったしね。

前:あのタイミングだったからだね。

吉:よく打ち合わせのたたき台を武田さんが作ってくると「詩人のくせにしっかりしてちゃダメですよ」って怒っていましたよね(笑)。

武:そうだよー。資料とかたたき台を作っていかないと怒られ、作っていくと怒られ、ほんと酷かったよ(笑)。

前:(笑)。

武:前野さん、初めの打ち合わせの時、メモ取るふりしてたよね(笑)。

前:なにそれー。

武:いやぁ、最初しっかり話し合いに参加していると思ったら、なにも書いてないの(笑)。

吉・前:(爆笑)

武:それ見て、信用しちゃいけないと思ったもん(笑)。

吉:(前野さんの手帳を見て)今もなにも書いてない(笑)。

武:さすが!(笑)吉岡さんは、B!B!Sのイベントはいろいろやれてた感はあるの?

吉:ちょうど3年目で転勤になっちゃって、それでどうしても距離ができてしまいましたね。

前:あれはショックだったなぁ。なんとなく、やり方が見えてきた時だったからね。

武:そうだよね。サンモール一番町商店街でのブックマーケット(一箱古本市とカフェや雑貨などのイベント)を作ったのは吉岡さんだったからね。あと、吉岡さんがやってくれたのは、新刊書店をつなぐ企画だね。

吉:あれこそ、住んでいないと出来ませんからね。

武:ほんと、すごいなぁと思ったよ。新刊書店が最初全然協力してくれなくてさ・・・正直、ぼくはかなり頭にきて、吉岡さんにも「もうやめよう」って何度も言って。それこそ、詩人として無理だったよ。これ以上は頭下げられないって感じで。だけど、吉岡さんは行くのよ、何度も。あれは、ほかのメンバー、誰もできなかった。

吉:そういうのは、会社員の経験が生きましたね。相手がマズイと思っちゃうくらい、一回怒らせるというか。「この前、悪かったね」って感じにするというか。

前:すげえ!

吉:でも、本屋さんがいかに大変かというのもよくわかりましたよね。

武:それはあるよね。まず、アポイントも取れないくらい忙しいもんね。でも、吉岡さんが通ってお願いしたおかげで新刊書店も参加してくれて、一箱古本市もあって、カフェや雑貨もあって、すごかったよね。

前:あの時のサンモールはB!B!Sの最初の到達点だね。

武:これで、イイ意味でやめられるな、と思ったもんね。

吉:武田さんって、何回辞めているんでしたっけ?(笑)

武:4回くらい、やめている(笑)。

前:自分だけで、誰もやめたと思ってないから(笑)。

武:ちゃんと引き継ぎして、一斉メールで挨拶とかもしているのに・・・今も、前野さんと二人だけになって、「なんで、ここにいるんだろう」って思うよ。

吉・前:(爆笑)

武:でも、吉岡さんが転勤になったこともBB!Sには大きかったけど、その後で震災になったのも大きかったと思う。

前:そうだよね。吉岡さんは震災の時、県外で仕事だったんだね。

吉:そうですね。そして、その年に出した『ふきながし』が今のところの最後ですね。

前:『ふきながし』が出た頃は、そこまでリトルプレスのブームではなかったよね?

吉:仙台ではそんなでもなかったけど、他のところではけっこう話題になっていましたね。それで、仙台でもリトルプレスできたら、いいなぁと思っていました。

前:そうなんだね。今はリトルプレスもだし、地域の広報誌もたくさん出ているよね。

吉:そうしたものが、いろいろな受け皿になっているのはたしかですね。

武:うーん。

吉:なんか、引っかかってますね。

前:楽しいのはわかるけど・・・その先が、どうなるのかなって思ったりもするよね。

吉:それは見てて、そう思いますね。

武:これは街のイベントが増えていくことと、関係しているのかもしれないね。話をstockの方に戻して・・・やりたかったこととか、そういうのは、どれくらいできていたんだろう?

吉:うーん、お店を開けることで精いっぱいだったんですね。その状況で自分たちがなにかをつくる・・・所謂自社製品がなかったんです。たとえば、出版とかやりたかったですね。なので、この時期をイイ時期ととらえて、ぼくの中でやりたかったことをやってみようと思っています。

前:いいねー。

吉:でも、ますます儲からない(笑)。それと、これからの仕事は英語を使わなきゃいけないんです。なので、イイ機会なので勉強して、商品の流通などに役立てたいと思っています。

武:これもターニングポイントなんだね。

吉:そうですね。カフェをやめた時に、いろいろ考えたんですけど、元々あのスペースでは利益は出なかったんですね。それと、イベントやるにしても、什器とかを動かさないとできない広さで、それではダメだと思っていたので・・・路面でやれるところ、今より3倍くらいの大きさのところをずっと探していたんですよ。だけど、仙台ではなかなかなくて。そういう意味でも一度閉めて、きちんと探していこうというのもあったんですね。

前:今のところに執着しなかったんだ。

吉:執着はしなくて、愛着はあったんですけどね。場所がなくなっても、ぼくがやってきたことがなくなるわけじゃないから。

前:仙台というこだわりはあるの?

吉:うーん。やっぱり自分の出身地というこだわりはありますね。なんか、気になるというか・・・心配になるというか・・・そういう愛着はあるけど、商圏として考えた時に、一回離れてみたいというのはあるかなぁ。

武:そうなんだね。今まで話聞いてきて、思うのは、吉岡さんって仕事できる人だなぁっていうのがあって、B!B!Sのオーガナイズだったり、仕切り方だったり、自分のお店に対するスタンスだったり・・・で、一般的に言われる仕事ができるというのは、効率の良さでもあるじゃない。だけど、こうした活動はそういうことだけではないと思うんだよね。一方で吉岡さんは他にちゃんと仕事をしていて、そっちの方ではそれこそ効率の良さというのが重要視されるんじゃないかと思うんだけど、「仕事」っていうところはどう考えているんだろう?

吉:うーん、ぼく、ほんとに仕事辞めたくて仕方ない時があったんですね。マンネリ化しちゃってて・・・そんな時に仙台に戻ってきて、お店を始めて、それで平日の疲弊した気持ちを癒していたというのがありますね。お店をやる以前は、平日の仕事の疲れを、週末買い物をして、バランスをとっていた感じがあって・・・気持ちが疲弊して、お金も疲弊させてみたいなのが嫌だったんです。そこで、お店をやって、充実した週末を送れるようになったら、会社の方もイイ感じで回ってきたんです。

前:へぇー、どっちにもいい影響があったんだね。

吉:はい。

前:それ、おもしろいよね。真逆なことなのにね。

吉:そうなんです。お店のイベントのこととかを考えていて、会社に行くと、会社の仕事も今までと違った視点で見えてくるものがあったりするんです。それで営業もうまくいきだして、いろんなプロジェクトにも関わるようにしたんです。今回も関わりたかったプロジェクトのポストが空いたので、応募したら、通って・・・。それをやってみようと決めて、東京に行くことを決めたんです。

武:お店のこともいろいろ考えた上での決断なのだから、やってみたかった仕事なんだね。

吉:はい。

前:吉岡さんのそういうバランス感覚って、ほんとすごいと思うんだけど・・・それはなんなの?まともなところとまともじゃないところというか。

吉:ぼくの父がまったく転勤のない仕事で、若い時って親に反発したくなるじゃないですか。それで、自分は絶対転勤のある会社に入って、いろんなところに行きたいって思っていたんです。

前:へぇー、それはおもしろいね。

吉:それが一つ。もう一つは大学時代テニスのバイトした時に、いろんな年齢のいろんな職種の人に出会うことができたんですね。それで、いろんな人に出会えることをやりたいと思うようになったんです。

武:ぼくからすると、前野さんもそういうバランス感覚が優れているなぁと思いますよ。きっと本来は旅人なんだろうなぁと思いつつ・・・B!B!Sにしても・・・これはイイ意味でだけど、前野さんも吉岡さんも意外となんでも真面目にやるんだなぁと思うことは多かったな。

吉:それはあるかもしれませんね。

前:実家の親が昔気質だからね。その影響があるんだよね。

吉:ぼくもそう。前に親に言われたことがあって「お前はふつうの親から生まれたふつうの子なんだから、なんでもやって、あんまりがんばるなよ」って(笑)。でも、なんかそう言われた時はうれしかったですね。

武:それはさっきのバランス感覚に通じる話だね。なんにしても、場がなくなるのは寂しいというのはあって・・・これはお客としての勝手な想いなんだろうけど、場・お店があれば、行けば会えると思えるからね。それが、また一つ、仙台からなくなるのは寂しい。でも、これも時の流れで、吉岡さんは前を向いているわけだから、ちょっと距離はできちゃうけど、今後も楽しみにしていますね。

   

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   【stock books & coffee】http://www.stock-web.com
     (実店舗は2016年9月にて閉店、オンラインショップは継続中です。)


「本と町と人」をつなぐ雑誌『ヒトハコ』創刊について

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「本と町と人」をつなぐ雑誌『ヒトハコ』創刊について
                          武田こうじ

一箱古本市をきっかけに町と人がつながることを伝える・考える雑誌『ヒトハコ』が創刊されました。
近年は「この町でもやっているんだ!」と思っていると、それがどんどん増えていって、いつの間にか、全国いろいろなところで開催されるようになった一箱古本市。本書は一箱古本市を企画、開催し、それを各地に広めていった南陀楼綾繁さん(B!B!Sも大変お世話になった方です)が中心になって作られています。

一箱古本市がどうして、人を魅了するのかが、よくわかる内容で、読んでいて「たしかに自分にもこういうことがあった」とか「参加者の人たちは、そこを楽しみにしていたのか」といろいろ発見・再確認できるのですが、やはり興味深いのは本書のテーマにもなっている、一箱古本市がそれぞれの町のイベントになっていくことが、いろいろな角度から書かれていることだと思います。当たり前のことなのかもしれませんが、一箱古本市は参加者一人一人によって、作られていて、まさにそこが「自分たちの町のイベント」になっていく大切なポイントだと、改めて思いました。

B!B!Sも、一箱古本市にはとても思い入れがあって・・・逆に思い入れが強すぎて、いろいろ悩み、ストップしてしまったのですが、本書の中では前野さんが高松の「海の見える一箱古本市」を主催する佐藤友理さんとメール対話として、その経緯を綴っています。

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「今年、ほんとうにやらないの?」と問い合わせがあったり、「B!B!Sは終わったんですよね?」と言われたりするのですが・・・たしかに、今のB!B!Sは地味でなにをやっているのか見えづらいかもしれませんね。だけど、このメール対話を読んでいただけると、今のぼくたちの気持ちややりたいことがちょっとでも伝わるかなぁと思います。仲間のことを褒めるのは、気持ち悪く思われるかもしれませんが、前野さんがとても丁寧に思いを書いてくれています。ぜひ、このメール対話は読んでいただきたいと思います。よろしくお願いします。

    

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    『ヒトハコ』webサイト
    http://hitohako-magazine.wixsite.com/hitomag

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