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INTERVIEW
本の魅力は、
ちょっと違うワールドで
遊ぶ楽しさみたいなところですかね。
日常だけど、
わたしの日常では
ないところというか。
仙台市太白図書館 服部佳子さん/渡邊マヤさん

Book! Book! Sendaiの新しい企画(連載)『せんだい本の生活史』では、いろいろな方の本との出会い、本との関わりをきいていき、人と街と本のことをアーカイブしていきます。今回は、仙台市太白図書館の服部佳子さん、渡邊マヤさんです。
ここまでお話を聞いてきた方たちの中にも本との出会いにおいて図書館が重要な場所だった方や、いまも現役のヘビーユーザーの方がいたりと、改めて、図書館の存在の大きさを教えられてきたわけですが、やはり図書館というと、静かにしていないといけない、ちょっと真面目なところ、というイメージもあるかと思います。

突然ですが、太白図書館のよりみち企画『ほんのトーク』はご存知でしょうか。毎月テーマに沿って、参加者が閉館後の図書館に集まり、本についておしゃべりするというものです。図書館で働いている方たちも参加しています。

いつもは静かに、ひとりでいる図書館という場所で、好きな本についておしゃべりをするという、日常からちょっとはみ出した企画が、とても魅力的に思えます。
その『ほんのトーク』を仕切るふたりに、いままでの本との関りをお話していただきました。お話を聞いて、「なるほど、だから、あの進行(捌き方)ができるんだな」と納得しました。(Book! Book! Sendai/武田こうじ)

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渡邊:最初の記憶として残っているのは『おしいれのぼうけん』です。幼稚園の読みきかせで出会いました。押入れに閉じ込められた二人の男の子が異世界に行くんですけど、くらやみから出てくるねずみばあさんが怖かったんです。幼稚園の先生が怒ると怖い先生だったので、その先生が読む、ねずみばあさんがとても怖いんです。それで強烈に覚えています。現実の世界に戻ってくると、ホッとしました。
他にもいろいろ読んでもらいました。読んでもらうことで、絵が浮かんでくるというか、自分の中でイメージが膨らんでいくんです。たとえば「地平線に風が吹いている」という描写があったとすると、大地に生温い風が吹いている絵が浮かんでくるんです。

服部:わたしは本が豊富にあるありがたい環境で育ったんです。両親がたくさん買い与えてくれていました。出たばかりのレオ=レオニの絵本とか、『三びきのやぎのがらがらどん』とか、いまも残る良い作品とたくさん出会ってきました。
たぶん子どもにとって良いと思ったものを買ってくれていたんじゃないかなと思います。そのおかげで、海外児童文学にそのまますんなり入っていくという、所謂読書好きな小学生になっていきます。
ですが、わたしが読みたいものと、両親が読ませたいものには少々差もありました。あの頃は、世界名作劇場のアニメが人気で、子どもなので、それを見ると、アニメのハイジの表紙の本が欲しいんです。だけど、親は「それはそれでいいけれど」みたいな素っ気ない感じでその本は流してしまい、翻訳がしっかりしている地味な装丁の方のハイジの本を選んでしまうんです。
両親とも教員だったのですが、母はわたしがお腹にいた時に仕事を辞めて、その後、仲間の方々と<水曜文庫>を立ち上げたんです。あの頃はまだ図書館が少なくて、市民運動を熱心にやってらっしゃる方が多くおられました。文庫活動は、子どもが気軽に来られる本のある場所を作ろうというものです。母もそれに生きがいを見出していたと思います。
当時は塾で忙しいとかもなくて、子どもたちが放課後に集まっていました。みんな、家に遊びに来て、そのまま文庫にも行くという感じで、いま思えば、友だちとかは不思議に思っていたのかもしれませんが、あの頃はそれが当たり前に思っていました。

渡邊:小学生の時は図書室に通っていました。好きだったのが、シャーロック・ホームズの小学生版です。いまでも児童書コーナーにある、偕成社の黒い装丁のものです。とても読みやすく、ミステリーにハマるきっかけになりました。
ホームズだけではなく、女の子が主人公で活躍するものも、読んでいました。あと『少年探偵団ブラウン』。 読んでいくと、途中で「犯人は誰でしょう」とクイズみたいなページが出てくるんです。次のページを開く前に、考えてみるんだけど、あまり当たらなかったかな(笑)。そんな感じで、そのシリーズはほとんど図書室で借りていました。
昔は借りる時にカードじゃなくて、自分の名前を書いた代本板を入れていましたよね。本の厚さぐらいになっていて、借りる本のところに差し込めば、そこはギュッてならない。いまの図書館はすべてバーコードで管理していますから、代本板とか、紙の貸出カードとか、なつかしいですね。

マンガでは、最近クマのニュースが多いので思い出したのですが、『銀河-流れ星 銀-』を読んでいました。子どもの頃、犬が好きでクマが怖いと思っていて、クマと戦う犬のマンガということで好きでした。アニメも見たし、主題歌が入っていたLPレコードも買って持っていました。
あとは妹と『りぼん』『なかよし』をそれぞれ買って読んでいました。妹はあまり本を読まなかったのですが、一人一冊ということだったので、わたしが『りぼん』妹に『なかよし』を買ってもらって、どちらもわたしが読んでいました。
その頃流行っていたのは『ときめきトゥナイト』、『有閑倶楽部』。
『有閑俱楽部』はその当時はわからなかったけど、大人になると登場人物が日本酒の名前だとわかりました。それとわたしが好きだったのは『星の瞳のシルエット』ですね。

服部:家に本がたくさんあり、文庫にも行くのですが、図書館にも、本屋さんにも行きたいし、学校の図書室にも行きたい、そんな子どもでした。だけど、マンガの話になると、両親はマンガを認めない人たちだったので、マヤさんが話したマンガ、子どもの時はあまり読めていないんです。親はわたしがマンガにハマるのは嫌なんだろうな、と子ども心に思っていました。わたしは一人っ子なので、徒党を組んで戦ってくれる姉妹もいないので、仕方がないなと。
みんなが読んでいた歴代のマンガの人気作、名作はある程度大人になってから読みました。アンテナは広がっているので、友だちが読んでいたタイトルは頭の中に入っていました。
でも、こんなことがありました。『キャンディ♡キャンディ』をピアノの発表会が終わったご褒美に買ってくれたんです。たしか、4巻まで出ていたので、そこから集めました。

推理小説はマヤさんと同じでしたね。ホームズ読んで、ルパン読んで。江戸川乱歩は表紙が怖かったので読まなくて(笑)。
それと、図書館にある子ども向けの世界名作文学全集的なものはほぼすべて読みました。「手当たり次第、読むぞ」みたいな感じで、日本のものも、外国のものも、読んでいました。運動神経があんまりよろしくない子だったので、外で元気に走り回って遊ぶというより、読書が好きでしたね。
そんな子どもだったのを、親は仕方ないと思いつつも「この子、物語しか読まない」って心配したらしく、ファラデーの『ロウソクの科学』とか買って渡してくるのですが、あいにく興味が持てなかったです。
あっ、でも星が好きだったので星の本は読んでいました。この前の『ほんのトーク』のテーマが「星」だった時に話題に出た、野尻抱影や藤井旭のものは、あれこれ読んでいましたね。

とにかく興味があるものは、なんでも読まなきゃ気が済まないという感じで、好きな作品は繰り返し読んでいました。わたしの根っこは『赤毛のアン』とか『あしながおじさん』、『大草原の小さな家』とかになると思います。
「そんな少女趣味!」とか言われるかもしれませんが、あの人たちはわたしの中にずっといるんです(笑)。
『ほんのトーク』はテーマで話す会なのですが、今年度から課題図書を決めて開催する読書会『イマカラ・イマダカラ読書会』も始めました。そちらの11月の課題図書が『続・あしながおじさん』だったんです。会に参加したスタッフの若い子と話していたら「そもそも『あしながおじさん』って、気持ち悪いですよね」と言われて、衝撃でした(笑)。
それは、内容のことで……お金などの面で応援していた子が、やがて魅力的な女性になっていき、プロポーズを一度断られているのに、いろいろあって、一緒になるというのが、気持ちが悪いと思ったようなんです。わたしはいままで一度もそんな風に思ったことなかったのですが、いまの子の解釈って、こちらの想定を超えてきてすごいなと思いました。
改めて考えてみると、そもそも海外の文化というか、個人に対する支援の仕方などは、いまの感覚ではちょっと理解しづらいのかもしれないな、と思ったりしました。寄宿舎での学校生活とか。最近だと『ハリー・ポッター』シリーズなどにも寮が出てはくるのですが。

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渡邊:わたしは『赤毛のアン』はアニメで知っていました。読んだのは、松本侑子さんの新訳の方で、それは注釈が詳しくて、面白いと思って読み始めたんです。

服部:あの、注釈すごいんですよね。

渡邊:そうですよね。物語よりも注釈の方に夢中になってしまうくらいです。時代背景とかわかって、面白いんですよね。
中学生になると、赤川次郎を読み始めました。最初は吸血鬼シリーズなんですが、いまも受付にいると、借りていかれる方がけっこういて、それを見て、「なつかしい」って思って。わたしの時は、主人公のお父さんがイギリス紳士のような、ダンディーなイラストだったんですけど、いまはキラキラしている若い感じのお父さんでした(笑)。
あと同じコバルト文庫では新井素子を読んでいました。学校の図書室に卒業生の方が寄贈してくれていたんです。まとめて寄贈してくださったから、その時に出ていたものはすべて読めました。高校では、田中芳樹の『アルスラーン戦記』というファンタジーを読んでいました。
マンガだと、高校の時に『ドラゴンボール』をドサッと貸してくれた子がいて……よめよめ、言われて、読んでみると止まらないほどおもしろかった。「なんでだろう」と思うくらい、止まらなかったです。

中学校の時は美術部だったんですが、高校の時は漫画家研究会に入っていました。なにかに入らなきゃいけなかったんですけど、運動が苦手で、文化部で入部できそうだったのが漫画研究会だったんです。文化祭の時になにか作品を描書かなきゃいけないんですけど……見よう見まねで4コママンガを描いていました。だけど、それはなかったことにしたいくらいのものです(笑)。
そんな感じでちゃんと活動してはいなかったので、高校の部活が舞台の本とか読むと、うらやましいな、と思います。米澤穂信の『古典部シリーズ』とか。

服部:中学高校だと、わたしも同じくコバルト文庫の新井素子ですね。あと氷室冴子。その頃の女子はみんな読んでいたんじゃないか思うくらい人気がありました。
もちろん、買って読んでいたのですが、いま振り返ると立ち読みも相当していましたね。近くに個人経営の本屋さんがあって、マンガも読むし、コバルト文庫も読むし、みたいな感じでした。お小遣いが多少もらえるようになると買ってはいたんですけど、その前は立ち読みでしたね。楳図かずおとか『宇宙海賊キャプテンハーロック』も読んでいました。
本屋さんによって品揃えがちがうから、団地内を行ったり来たりして使い分けていました(笑)。本屋さんの方もわかってくれている感じでしたが、迷惑にならない範囲で読みたい本を見つけ、立ち読みして、お小遣いが入ると厳選して買うという流れでした。
中高は吹奏楽部だったので、わりと忙しかったんです。だけど、本を読まなくなったりはしていないですね。児童文学から続くものも読み、中学生の時には『風と共に去りぬ』『源氏物語』に手をつけていました。そんな感じで、正統派女性好み文学を読んで、推理小説も読んでいました。マンガは『ガラスの仮面』ですね。

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渡邊:本の魅力というか、本を読んでいて、なにが面白いと思っていたかというと、SFとかファンタジーは、主人公などの登場人物が好きだったのかなと思います。物語の中に一緒にいられるような感じがありました。ミステリーは、謎解きの面白さがまずあって、そこからキャラクターの性格に入っていく感じで好きでしたね。
読んでいると、絵が浮かんできて、登場人物を勝手に思い描いてみます。それがアニメ化されちゃうと、「自分の思っていたのとちょっと違うかな」なんて思ったりもして。だけど、それも含めて楽しんでいたというのがありますね。

服部:本の魅力、なんだろうなぁ……。やっぱり、ちょっと違うワールドで遊ぶ楽しさみたいなところですかね。日常だけど、わたしの日常ではないところというか。例えば高校生の話だとしても、わたしの高校生の日常とはちょっと違う、だけど身近にも思える日常の話で、それがファンタジーだったら、全然違うところの出来事で遊んでいるみたいなところが面白いんですよね。
わたしはあまり絵を思い浮かべるタイプではなくて、それよりも文字を追っかけて読むのが楽しいんです。そこはマヤさんと対照的ですね。

渡邊:そうですね。そういう意味でも本の楽しみ方はそれぞれですよね。
大学生になってからは、京極夏彦、森博嗣、綾辻行人、小野不由美、有栖川有栖あたりを読んでいました。京極夏彦は、あの大きな、分厚い本を本屋さんで見て、読んでみたいと思って、手に取ったんです。賞などもとってはいたのですが、そうした話題性ではなく、本屋さんで見て、「読みたい」と思ったんですよね。それで読んでみたら、ハマってしまったという感じです。そこからは続けて読んでいました。あの頃は読書に関しては、すごい熱があったなと思います。

服部:あの辺の本格ミステリーを読む方は、きちんと謎解きをしながら読む印象があるのですが、わたしはミステリー好きなんですけど、謎は解かないんです。キャラ読みしかできない(笑)。じつはミステリーの読書会にも参加しているんですけど、「この人がこうやって、死んだのだから、もうそれでいいのよ」みたいな発言をなさった方がいたときに、「わたしみたいな人がもう一人いた!」と思いました。事件のトリックや謎解きよりも、探偵の変な喋り方とか、そういうことが気になるんですよね。

渡邊:大学生の頃読んでいた本はかなりあって、本棚にも入らなくなってきたので、クローゼットの中に入れていたのですが、その壁の裏にあった水道管が水もれして、水浸しになってしまったんです。それまで何回も読んでいたので、「ありがとう。さようなら」と思ってお別れしました。横積みにして置いていて本が水を全部吸収してくれたおかげで部屋への被害が少なかったのですが。

服部:身を挺して守ってくれたのかな。

渡邊:そうかもしれないです。じつは、水浸しになってしまったのは、他にもあって、台風の時にリュックにアガサ・クリスティの『メソポタミア殺人事件』(新潮文庫)を入れていたんですけど、それも濡れてしまって、復活できなかったんです。

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服部:短大時代は国文科だったので、古典文学を女流作家が現代語訳したもので読んでいました。そこから派生して、田辺聖子なども読みました。その流れで近現代にまで繋げられれば良かったんですけど、その辺は弱くて、漱石とか読んでないんですよね。読まなきゃと思ったりもしたのですが、駄目でした。なので、平安文学ぐらいで止まっています。原文ではないですけど、読んで知識として持っているという感じですね。

自分で書いてみたいというのもあったんですけど、才能がなかったんでしょうね。書きたいとは思うけれど、書きたいことがあったわけじゃないというのが、自分で出した結論です。たぶんわたしが書きたいのは日常の中の面白いこととかで、いまにして思えば、エッセイの方だったのかなと思うのですが、書くと言えば、小説家なんだと思っていたから、物書きになりたいと思ったのは、小学生の時で終わっています。
中学生の時には、図書館員になりたいと思っていたんです。親の影響もあったと思います。図書館には図書館員という人がいる、とわかっていて、だけど仕事の中身はわかっていなかった感じです。

短大を出て、仙台市役所に就職して、2年区役所にいました。図書館という希望は出していたんですけど、最初は通らなくて。その後、願いが叶って図書館に異動して、しばらく働いていたのですがまた他部署に異動して、でもやっぱり図書館で働きたかったので、昇任試験を受けて一生懸命希望をアピールして、戻って来ることができました。

渡邊:わたしは中学の時も、高校の時も図書委員をやっていたのですが、高校には常駐の司書の方がいて、「どういうふうになったんですか」と訊いたら、司書資格というのがあると教えてもらって、大学に行って司書資格を取ったんです。だけど、そこからどうしたらいいのかはわかっていなくて。それで県立図書館の引っ越しがあった時にアルバイトで入ったんです。大学で司書課程の先生が、「引っ越しがあるらしい」と教えてくれたんです。榴ヶ岡から紫山に引っ越した時です。そこから司書の募集があれば申し込むという感じで、その後メディアテークの市民図書館に行きました。

服部:そこで一緒に働きましたよね。
実際に働いてみると、図書館の仕事はやることがたくさんあって、忙しいんです。だから、今日みたいに読んできた本とか、好きな本の話はスタッフではあまりしたことがないんです。
「働いているとそうなってしまうよなぁ」と思いつつも、やっぱり本の話はしたいと思っていて、『ほんのトーク』みたいな場をつくって、職員にもどんどん参加してもらえたらと思うのですが、実際にやってみると、「話をするのは遠慮したい」「聞くだけだったら」みたいな方もいて、なかなか難しいところもありますね。

渡邊:最近『「好き」を言語化する技術』という本が出ていますが、好きを言語化するのはやっぱり難しい。わたしも、今日、うまく話せているか心配なので、その本を読もうかなと思います。

服部:そもそも『ほんのトーク』は、一般の方が気軽に参加できる企画を立ち上げたいなと思っていて、以前メディアテークで参加したことがあったイベントの、好きな映画の話をする『シネバトル』みたいなものができないかなと……それと、わたしはTwitter(現X)が大好きなんですけど(笑)、「わたしを作った10冊」みたいなハッシュタグを付けて盛り上がることが時折あるので、そうしたものを合わせていけたらと思っていました。コロナ禍も一段落したので、対面で開催しようと始めました。準備がかなり必要なものだと、続かないと思っていたので、まずはやってみようくらいな感じです。もちろん仕事ではあるのですが、趣味性を出してもいい、と思っていました。それで、誰かに手伝ってほしいと思った時に、手を挙げてくれたひとりがマヤさんです。

渡邊:最初はスタッフだから話さなくてもよいのかなと思っていたのですが、そんなこともなく(笑)。始める前に、3人のスタッフで集まって、「誰、板書する?」となって、じゃんけんで負けて、わたしがやることになりました。なので、初回からホワイトボードにみなさんが紹介してくれた本、話題になった本のタイトルを書いています。

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服部:月1回開催で、2025年12月で36回だから、足かけ3年やっています。参加者はテーマによって違います。ありがたいことに、常連参加の方もいらっしゃいます。たくさん来てもらえると、いろんな人の話が聞けるし、少ないと深く話せるし、どっちにしても良い会になっていますね。それと、わりと毎回新しい方が入ってきてくれるのもうれしいです。「話さなきゃ駄目ですか」という質問が多いですが、「聞くだけでも大丈夫です」と答えています。一応、話は振るけど「パスです」と言ってもらえれば大丈夫、と。そうしたら、いざ振ってみたときに「せっかくなので」と話してくださる方がけっこう多くて。そんな気楽な感じで、まずは参加してもらえたらと思っています。

渡邊:以前のような量を読むのは、いまはできていませんが、『ほんのトーク』で参加者が話してくれた本で知らないのがあれば、読んでみようと思いますし、本の返却で、棚に戻していると、「こんな本があったんだ」と発見もあるんです。この仕事は常に新しい本に出会えます。

服部:本棚に返却する作業は、図書館の職員は全員やるんですよ。この作業で本の動きがいろいろつかめるんです。
わたしも読書量はかつてのものではなくなっています。また年齢を重ねていくと、プライベートでもいろいろな事が起きますよね。そうなると、ちょっと本を読んでいる場合じゃないって心境になってしまって。この頃めずらしくわたしもいろいろあって……新しいものを読む感じではなかったので、いまは大好きなコニー・ウィリスを読んでいます。それと車通勤なので、Audibleで何度目かの米澤穂信などを聴いています。
Audible、面白いんです。翻訳も種類があると聞き比べできるし。聴き始めた頃、ホームズ物から『ボヘミアの醜聞』を聞き比べて喜んでいました。最近は宮部みゆきの『三島屋変調百物語』シリーズをずっと聞いていたんですけど、とても面白い。そして、たまに落ち込む。なんでわざわざ落ち込むのに読んだり、聴いたりするのかなと思うのですが、それも読書の魅力だと思っています。