先生が読み聞かせの時間を
つくってくれて、楽しくて。
だけど、イイところで
終わってしまって、
その後図書館で探して読みました。
それは先生の作戦だったようです。
SatoPosca 深見聡子さん/
あとりえペチカ 布澤美穂さん
Book! Book! Sendaiの新しい企画(連載)『せんだい本の生活史』では、いろいろな方の本との出会い、本との関わりをきいていき、人と街と本のことをアーカイブしていきます。今回は、本沢3丁目パン工房・伊藤肖子さん、SatoPosca・深見聡子さん、あとりえペチカ・布澤美穂さんです。三人は新寺こみち市に同じブースで出店されています。ぼくはそこで三人に会い、挨拶を交わし、少しお話するのが楽しみです。もちろん、おいしいパンとマフィン、素敵なカードなどに出会えるのも。
いつも、ブースのとなりにちょこっと本が置いてあります。それが気になっていたので、三人から本の話が聞けたら、おもしろいのではないか、と思い、声をかけさせていただきました。(Book! Book! Sendai/武田こうじ)
伊藤:わたしの子どもの頃は、父がマンガをたくさん集めていたので、それを読んでいました。手塚治虫や白土三平とかがありました。『火の鳥』や『忍者武芸帳』をなんども読んでいました。
あと矢口高雄。『マタギ』というマンガも読んでいました。父は有名な漫画家の作品を集めるのが好きでした。読むというより、集めるのが好きだったのではないでしょうか。わたしは子どもだから、怖い絵のところは飛ばしながら、なんども読んでいましたね。
深見:わたしは家にあった絵本を読んでいました。『かがくのとも』や『こどものとも』を読んでいました。それと、世界の文学全集のようなものが家にあったのも覚えています。
『おやすみなさいフランシス』という絵本がかわいくてよく見ていました。夜にトイレに行くのが怖かったから、フランシスに共感していたのかな。
あと図書館によく連れていってもらいました。いつからそうだったかハッキリしませんが、小学生の頃には図書館好きを自覚していました。いまでも、各地のイベントに出店する際は、その地域の図書館に好んで行くくらい好きです。観光名所になるような大きな図書館も地元の人しか来ない小さな図書館も好きで、時間があると一日中図書館で過ごしたりします。札幌の図書館には食堂があって、メニューがイラストで描いてあったり、大阪の図書館では絵はがきの展示をやっていたり。いつも小さな発見があって楽しいです。
伊藤:わたしも深見さんの影響で図書館が好きになりました。先日も金沢に行く機会があったのですが、図書館に寄りました。
布澤:わたしは小学生の頃、近所で個人宅を開放していた家庭文庫によく行っていました。荒井にあった「藤田文庫」です。誰でも出入りできて、放課後とか、鍵っ子みたいな友だちと行って、本を読んでいました。貸し出しもしていたので、借りてもいました。あまり友だちとワイワイするのが得意ではなかったので、家庭文庫に行って、本を読んでいるのが好きでしたね。
そこで寝転がって、児童文学を読んでいました。『ぼくは王様』シリーズや『なんじゃもんじゃはかせ』などを読んでいました。あと松谷みよ子、灰谷健次郎も好きでしたね。
それと、図書館では推理小説を借りて読んでいました。怖いけど、読みたくなるというか。江戸川乱歩シリーズとか好きでしたね。土曜日にテレビでやっていた『怪人二十面相』も見ていました。
伊藤:布澤さんが寝転がって本を読んでいたのは意外です(笑)。
小学生になると読まないといけないものも出てきますよね。読書は好きなのに、読書感想文を書くのは嫌いみたいな感じで。
わたしは小学校の頃も家にあるマンガを見ていたのですが、教室で男子が見ているのをのぞき見たりもしていました。『ドラゴンボール』とか。やっぱりジャンプは人気でしたね。わたしは買ったことはないですが。
あと百科事典も家にあって、それを見るのも好きでした。勉強して覚えようとかではなくて、ただ見ているのが好きでした。動物や植物の図鑑もよく見ていました。ヘビとかは嫌いなので飛ばして、犬とかライオン、チーターとかを見て、好きなフォルムをしている動物には○をつけたり、ちょっと好きだと△をつけたりしていました。
深見:小学生の2年生か3年生の頃、担任の先生が読み聞かせの時間を作ってくれていたんです。その時に斎藤洋の『ルドルフとイッパイアッテナ』を読んでくれて、すごい楽しくて。だけど、いいところで先生の読み聞かせは終わってしまって、その後図書館で探して読みました。いいところでストップしたのは、本を読んでほしいという先生の作戦だったようです。まんまと作戦に乗せられ続編も出ていたので、それも読みましたね。今でも一番好きなのは児童文学で、ほかには富安陽子、岡田淳、たかどのほうこなどが好きです。
わたしは基本的にフィクションが好きなんです。違う世界を見たいと思っていて、作り物の話が好きなんですよね。小説だと恩田陸とか好きですね、好きな作家の作品は追いかけて読みます。
伊藤:そういえば中学校の時、担任の先生が読んだ本を持ってきて、教室の本棚に置いていました。国語の先生だったからかな。けっこうたくさんあって、勝手に借りてよくて、その時に小説を読むようになりました。星新一、吉本ばななを読みました。
あと中学生の時に姉の影響で読んだマンガもあります。『ぼくの地球を守って』とか。このマンガは流行っていましたね。
深見:わたしも姉がいて、本やマンガは好みが似ています。マンガでいうと『天使なんかじゃない』『巴がゆく!』が好きでした。
布澤:小学生の頃は赤川次郎を読んでいました。読みやすくて人気がありました。マンガはあまり読んでいなかったのですが、わたしも姉がいて、その影響で中学生の頃に、マーガレットなどを読むようになります。くらもちふさこ、いくえみ綾などが好きでした。姉が読んでいたマンガはほとんど読んだと思います。
伊藤:みんな、姉がいて、影響を受けているのがわかりましたね。マンガで思い出したのは『PALM』です。ずいぶん前から連載されていたと思うのですが、高校の時に流行って、友だちも読んでいました。長く続いていて、だんだんSFになっていくんです。こみち市に持っていったこともあります。
布澤:わたしが高校の時に流行っていたマンガは『BANANA FISH』です。ストーリーが刺激的で覚えています。それから日本文学をいろいろと読み始めます。夏目漱石、三島由紀夫などです。なんていうか、自分は心の中になにかドロドロしたものを抱えているような感じがあって、その「なにか」にふれられる感じがして、文学を読んでいました。
20代の頃も自分探しというか、そんな感じで、『ライ麦畑でつかまえて』とか読んでいましたね。
最近も小沢健二さんが推薦の帯を書いていたので、三島由紀夫の『レター教室』を読みました。それから、吉田篤弘の作品も好きですね。ちょっと風変わりな物語というか、変わった人たちが集まっている街の物語がいいんですよね。
深見:わたしは海外の作品だとロアルド・ダールの『マチルダはちいさな大天才』が好きです。ただ高校あたりから日本の作品を多く読むようになりました。文化が同じなので日本人が書く物語の方が共感しやすくて、海外のものより、好むようになりました。
絵本などいろいろ見てきたので、なにかしら影響はあると思うのですが、誰か目標になる画家がいて、絵を始めたとかはないんですよね。絵を描く職業と言えば画家しか知らなかった小さい頃はモネやルノワールが好きでしたが、部活も美術部ではなくて、独学で自分の好きな絵を描いてきた感じです。
今はトミー・デ・パオラやアーノルド・ローベルの絵が大好きです。テイストは違いますが芹沢銈介やアルフォンス・ミュシャも好きです。
布澤:わたしは大好きなアーティストの人が紹介しているものにハマることがあって、カジヒデキさんが曲名にしている『ささやかだけれど、役に立つこと』を読みました。そして、読んだ時に「まさにわたしはこれがやりたいんだ」って思えたんです。
内容は悲しいお話でもあるのですが……誕生日の朝に事故で息子を亡くした両親と、バースデーケーキの注文を受けていたパン屋さんのやりとりがあって。焼きたてのパンがお互いの心をあたためて解きほぐしていくんです。
パン屋さんが「こんなときには、物を食べることです。それはささやかなことですが、助けになります」と言葉をかけます。それまでも、食べることや食べてもらうということに不思議なちからを感じてはいたのですが、このお話を読んで、「これだ」と思いました。だから、この本はわたしのバイブル的な作品なんです。
伊藤:わたしはバイブル的な本はないかなあ。それと、さっき深見さんはフィクションが好きだと言っていたけれど、わたしはノンフィクションの方が好きなんですよね。自分が知らない世界のことを専門分野の方がわかりやすく書いてくれたものを好んで読んでいます。
作業をしながらラジオをよく聞くのですが、NHK第2でやっている番組で、専門家が研究分野について話すのに興味を持って、その方の本を探して読んだりしています。最近だと今井むつみさんが、赤ちゃんが言語を獲得するまでの話をしていたのが、とても面白くて、本を探して読んだり、あと京都大学の総長をされていた山極寿一さんの回をなぜか再放送でなんども聞くのですが、ゴリラの話がいつ聞いても面白くて、本も読みました。
それと、磯野真穂の『他者と生きる リスク・病い・死をめぐる人類学』を読み始めたところです。食べ物に気を使っているうちに、気にしすぎて逆にストレスになるという話で、興味深いけど、ちょっと読むのに時間がかかっていますね。
以前はネット通販で探して買うことが多かったのですが、最近はブックオフの検索が便利なので利用しています。
それと図書館を利用するようになったのも大きいですね。借りて読んで、気に入ったものは買って読むというのがあります。
深見:わたしは各地のイベントに出店して、自分の作品を販売することが多いですが、その移動の際に本を読んだりします。そうやってイベントに参加するのは、いまでは当たり前のことですが、最初は自分の作品を人に見せたりできなかったんです。
絵を描くのは好きなので、それを形にしたいと思ってはいたのですが、どういうふうに進んでいいかがわからなかったんです。なので、正社員として働いていた時もありましたし、派遣で働いたりもしていました。
最初はネット販売でひっそり始めて、色々調べていたら、ハンドメイドのイベントがあることを知り、やってみようと思いました。最初はドキドキで、果たして売れるんだろうかと不安だったけれど、次第に人に見せることにもなれてきて、そうやってイベントに出ているうちに、ふたりにも出会ったんです。
伊藤:わたしは料理系の仕事をしたくて、和菓子屋で働いたりもしていたのですが、自分でやってみたくなって、だけど、人前に出るのはあまり得意ではないし、人がたくさん集まるのも苦手なので、どうしようかなと思っていたところ、友だちに<chocol>という作家が集まり、自分たちでつくったものをイベントなどで販売しているグループがあると紹介されて、わたしも参加させてもらい、いろいろなイベントにでるようになりました。そこで、深見さんと話をするようになりました。
深見:わたしも<chocol>に参加させてもらえるようになったのですが、紙物って単価が安いので、手応えを感じられるようになるまで、ちょっと時間がかかりました。そして、気がつけば、伊藤さんと話をするようになっていました。
布澤:わたしは自分の家に工房があって、そこでお菓子などをつくり、販売をしていました。いまはもう販売はしていないのですが、田んぼの中にポツンとある感じの工房なんです。そこに伊藤さんが訪ねて来てくれて、話をするようになったと思います。そして、たくさん話すようになったのは薬師堂の『お薬師さんの手づくり市』に出店していた時でしたね。
伊藤:そうやって、いろいろなイベントで会うようになって、新寺こみち市は、共同出店も大丈夫だったので、誰かが出られない時も変わりに販売できるし、「一緒に出ちゃおう」ってなったんです。
深見:本の話でいえば、わたしは読んだ本をノートに記録しています。タイトルと作者名、それと自分の感想として、2行くらい書いて、星を五つの中でつけています。いろいろ読んでいると忘れちゃうので、始めたのですが、「見せて」と言われると恥ずかしいですね。
伊藤:それは見てみたいな(笑)。
子どもの頃に読んだ本って、突然パっと思い出したりします。松谷みよ子の『ちいさいモモちゃん』の中に、きゅうりのブツブツは水疱瘡だって言って、きゅうりにお薬を塗っていたのを、きゅうりを見ると思い出すんですよね。
布澤:いま、わたしは仕事できゅうりを袋に詰めることがあるのですが、今度その時がきたら、いまの話を思い出しちゃいますね(笑)。